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第22話
藍が自分に飽きて離れていくのが先か、家の為に優秀なαの女性と結婚するのが先か。どちらにせよ、藍とは一生を共に出来ない。
惹かれてしまうのは運命だから。それも離れたら忘れていく。辛いのは今だけでそんなに長くはこの関係は続かない。
だからこれ以上は距離を縮めたりしない。
「……運命の、番なのに?」
藍の呟いた問いに押し込めていた感情が一気に沸騰した。
何でそんな事を藍が言うんだと、叫びたい気持ちを手を握りしめる事で堪えた。
「永絆、オレは永絆を番に……」
「出来るわけない!」
それ以上の言葉は聞きたくなかった。
簡単に言ってしまおうとする藍が憎らしかった。
そんな出来もしない言葉で希望を持ちたくない。縛られたくない。
「藍だって番にするつもりないでしょ!?」
「何でそんな事っ……」
「オレを番にしたいなら、再会した時に噛めば良かったんだ! オレは抵抗しなかった! 藍に項を差し出したんだから!」
あの時、キスをしようとして制止された。代わりに抑制剤を無理やり飲まされてしまった。
目が覚めた後でもヒートを起こしていたのに藍は部屋を出て行った。
番にするつもりがあったなら、二度もチャンスがあったのに逃すはずがない。
運命の番のフェロモンを感じていたのに、本能より理性が勝ってしまった。それが藍の答えだ。
「再会して直ぐに、そんな事出来るわけないだろ……まだお互いの事なにも知らないのに」
扉の向こう側で困惑する声が響く。
少し低音で耳に心地良い声。
泣きたくなるほど愛しい声。
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