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第25話
それでも再会すればどうしても惹かれてしまう。だからどんどん苦しくなった。
近くに居れる間だけ、時間が許す間だけ。そう思って誤魔化していた。
長く一緒に居ればそれだけ別れが辛くなるのに、いつの間にか番を作らないと誓った事さえ忘れて藍と番いたいと願ってしまっていた。
これは罰だ。そんな事を願った自分への。
もう藍に近付いてはいけない。藍が追いかけて来ても立ち止まってはいけない。
番を作りたいだなんて二度と考えてはならない。
「永絆くん、こんにちは」
大学から帰宅すると家の前にメガネとマスク姿の中根が待っていた。
「中根さん……? どうして家が?」
「永絆くんの事なら藍に訊けばすぐに分かるからね」
肩を竦めて苦笑いする中根に永絆は思わず溜息を漏らした。
藍にとって人ひとり調べる事なんて造作もない事なのだろう。永絆のスケジュールを全て把握していてもおかしくはない。
「……中にどうぞ」
「ありがとう、お邪魔します」
玄関を開けて中根を部屋へ招き入れる。ここに誰かを入れたのは始めてだ。もうずっと一人で暮らしているけれど、友人を家に誘った事はなかった。
部屋の中をキョロキョロと見渡す中根をリビングに通して二人分のコーヒーを淹れる。
中根は飾られた絵画や写真、本棚に並べられた本を興味深く見ていた。
「大学生の子供が暮らすには贅沢な部屋だと思ってます?」
コーヒーをリビングのローテーブルに置くと、自嘲しながら中根に訊ねた。
「うーん……まぁ、君の趣味って感じはしないかなぁ……」
ソファーに座るように促すと、中根は永絆の対面に腰を掛けた。
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