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第33話

 一生、番に抱かれる事のないまま発情期を迎えては辛い疼きに耐えていかなければいけないのなら、その場しのぎでも構わないから誰かに抱かれて一瞬でも満たされたい。  辛いのなんて藍と再会してからずっとだ。これからもずっとそれは続く。 「永絆くん、藍を信じてあげて。藍は君を番にしたいって思っているから」 「思ってたって出来るわけないっ!! そんな事、貴方はよく分かってるでしょ!?」  紫之宮家がΩを受け入れる訳がない。藍がそうしたくても簡単な事ではない。  ちゃんと分かっているのにどうやって信じたらいい? 何度も考えたけれど答えは自分が身を引く事以外ない。 「……とにかく、薬飲んで少し休もう。僕は今日はもう帰るけど、また明日様子を見に来るからね」  渡された抑制剤を投げ捨ててしまいたかった。それでもちゃんと飲んだのはもう何も考えずに眠りたかったから。  もう辛いと嘆きたくなかったから。

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