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参章 第34話

 クルクルと椅子に座ったまま回転する中根が何度も「うーん」と唸るのを黙って見ていた。  全ての検査の結果が出て、今後の事を話し合う為に診療所を訪ねた永絆はその状態の中根を既に十分は見ていた。  机の上には検査結果らしき紙の束が置かれ、その内容が気になってチラチラと目がいってしまう。  早く話をしたいのだが、声を掛けても中根は「ちょっと待って」と返事をしてクルクル回転し続けた。  目が回らないのかなと心配になり始めた頃、やっと椅子の回転を止めて検査結果の用紙を手にした中根が永絆の方を向いた。 「あのね、永絆くん」 「はい」  どんな結果でも受け入れると決めて今日はここに来た。けれどいざとなると少し怖気付いてしまい唇を噛んだ。 「君の検査結果は、他のΩと殆ど変わらない数値でした」 「……つまり?」 「つまり、何で藍にだけ過剰に反応するのかはこの検査では解らなかった、って事」  中根に検査結果の用紙を渡され、内容を確認する。見たところで専門知識のない永絆には理解出来ないけれど、通常のΩの検査数値も比較する為に書かれており、それと永絆の数値は特別な違いはなかった。 「君が急に体質が変わってしまったのは運命の番に出逢ったからだって結論になっちゃうね」 「……そうですか」

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