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第40話
「何日でも待つ。永絆がオレと番う覚悟があるなら」
「藍は……家を継いでαと結婚するんでしょ? 番にはなれないよ、反対されるに決まってる」
藍が紫之宮の産まれでなければまだ微かな望みがあっただろうに、今はそんな希望は僅かにも湧かない。
例え藍と身体を重ねるようになっても、藍は誰かと結婚をするしその相手との間に子供を作って幸せに暮らすんだ。その頃には運命の番がいた事など忘れてしまっている。
「だから、覚悟が必要なんだよ、永絆」
「何の、覚悟……?」
藍が幸せならそれでいいと思える強い自分になりたい。
だけど、今すぐには整理しきれない。
自分自身、どうしたいのか分からないのだから。
「オレと、何があっても、何もかも捨ててでも、番って一生を共にする覚悟」
「……藍……」
力強い声に、その言葉の意味に、熱いものが込み上げてきた。
「本気なの……?」
一時の気の迷いや、ちょっとした好奇心なら今すぐ言った言葉を否定してほしい。
だってもう、どう足掻いてもこの藍への気持ちは誤魔化せない。膨らむ一方で隠すことも消すことも出来ない。
「オレはずっと、永絆に対して本気で接してきたつもりだ。これからもそれは変わらない」
「……藍は、覚悟があるの……?」
番ったら後戻りは出来ない。
藍に全てを捨てさせる事になるかもしれない。もしかしたら自分達が考えてるよりももっと厳しい現実が待っているかも。
今まで何不自由なく生きてきた藍に一般庶民以下の生活が出来るとは思えない。
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