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第47話
まさかこんなに早く再会するとは思っていなかったけれど、名前を教え合った再会の日、全てを藍に託して番って生きていこうと決めた。
紫之宮家と言う名前を聞くまでは。
藍を選べば藍の将来はダメになる。だったらこのままの方がいい。
「ごめんね、藍。せっかく覚悟してくれたのに、オレはダメなんだ。オレは藍の家を敵に回す覚悟もないし、そのせいで彼の仕事や立場が悪くなるのもイヤだ。だからもう、これで諦めてほしいんだ」
「……せっかく触れ合えたのに、諦めろって言うのか?」
藍の声は冷たかった。その声に心臓が凍りそうになった。
「せめてちゃんと顔を見て伝えたかったんだ。これでちゃんと話せた。もうこれで終わりにしたい」
冷たい眼差し。無表情の顔。さっきまで包まれていた甘い匂いも感じなくなってしまった。
どんどん薄まる花の匂いに、これで終わったのだと永絆は察した。
強く求めていた時期も確かにあった。どうして置き去りにするのかと嘆いた時も。
その度に自分の身勝手さに嫌悪して、早く決着をつけなければいけないと解っていた。引き延ばせば延ばすほど、藍を傷付ける。
藍が紫之宮家を捨てると覚悟してくれたから、これ以上は引き延ばせない。
「ごめんね、ありがとう。少しだけだったけど、藍といた時間は幸せだったよ」
立ち上がって藍に背中を向けた。もう顔を見るのは怖くて出来なかった。
藍が今、どんな表情をしているのか。きっと自分に振り回されて腹が立っているに違いない。
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