僕は確かに恋をしていた。大好きだった先輩のことを思い出すと、今でも胸が痛くなる。しくしくと痛むそれは、何度も味わいたくないもので。 「だからこそ、分からないんだよな……」 　自分のキモチだというのに、理解が出来なかった……失恋した後だというのに、いきなり喜多川のことを意識してしまうなんて――自分の心がサッパリ分からなくて、お手上げ状態で日々を過ごしていた。