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Always With You:恋って何だろう?⑥

「口説いてない、口説いてない! ただ、素直な感想を言ったまでだから」 「そうですか……」 「おい、褒めてんのに、どうして落ち込むんだ? もしかして、喜多川に言われたかったとか?」  グハッ!!( ゚∀゚)・∵.  唐突に出た喜多川という名前に、口の中に入っていたご飯を派手に飛ばしてしまった。 「あちゃー、これ使えよ」  さっき使ったばかりのふきんを、済まなそうな顔して手渡してくれる先輩。急いで辺りを、拭いまくった僕……  そして、弁当箱の蓋を閉じた――先輩に図星を指されたら、きっと同じ過ちを繰り返すと思ったから。 「俺さ、お前と付き合った当時って、人のことに興味がなくってさ。お前が1年の姫なのも、知らなかったんだ。来るもの拒まず、去るもの追わずだっだし」 「はぁ……?」 「でも病気になって、タケシ先生に出逢って恋をして。真っ直ぐにものに対して、向き合うことを覚えたんだ。そしたらさ、見えたんだよ。お前は俺のことをスキって言ったけど、何か違うんじゃないかって」 「先輩……」  やっぱりこの人はすごい。自分でも分からなかったキモチを、こうやって感じてくれるなんて。  まじまじと見つめる、僕の視線を先輩は逸らし、トレーに箸を置いて、窓の外の景色を眺めた。 「西園寺、今のお前が好きなヤツって、喜多川なんだろ?」 「……はい――っ、なっ!?」  沈んだ声で答えた僕の頭を、いきなり容赦なくチョップする。 「らしくねぇな、もっとシャキッとすれよ。あの喜多川を振り回せんの、学校中でお前だけなんだぞ」 「(・_・)......ン?」 「振り回した勢いで、そのまま押し倒したらどうだ? 好きだって、たくさん言えば、その内伝わるハズだからさ」  先輩はヒートアップしてきたのか、テーブルを両手でバンバン叩きはじめた。 「俺なんかタケシ先生に、激しく拒絶されまくったけど、打ちひしがれながらも頑張って、猛アタックしたんだぜ。諦めんなよ、西園寺」 「……元カレに対して、優しすぎますよ先輩」  こんな風に、僕の恋を応援してくれるなんて、涙が出そうだ。 「俺個人としては、喜多川の本当の笑顔が見てみたいだけ。アイツ、滅多に笑わないからさ。西園寺なら、それが出来るんじゃないかって思って」 「どうなるか分からないけど、頑張ってみます。ありがとうございます、先輩!」  にっこり微笑むと、先輩はとても嬉しそうな表情を浮かべ、握手を求めてきた。  交わした握手に力を貰い、僕は喜多川にキモチを伝える決心をしたのだった。

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