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Always With You:伝えたいキモチともどかしい想い

 喜多川にキモチを伝えると決心してから、まる1日が経過した―― 「喜多川本人を目の前にしちゃうと、テンパっちゃうから避けてしまったけどアイツ、すっごい不服そうな顔……していたよな」  伝えたいのに、伝えられない――スキだってただ一言、告げればいいだけなのに。  学校からの帰り道、ひとりでとぼとぼ歩いていると、すれ違った女子高生2人組が、うきうきした感じで喋っていた。 『これで先輩のハートを、ゲット出来ちゃうかも』 『ちょっ、手作りチョコを作る前からその自信って、一体どこから沸いてくんのさ』  その言葉にふと立ち止まり、歩いて去って行く後姿に目をやる。  そして気がついた!  商店街のアチコチに、バレンタインとかチョコレートなどの看板や広告が、これでもかと掲げられているではないか。 「……そうだよ。言えないなら、チョコにキモチをのせて、強引に渡しちゃえばいいんだ」  折りしも、バレンタインデーまであと3日。時間的には、余裕がありすぎるくらいある。  すぐ傍にあった有名製菓専門店に、思い切って足を踏み入れると、目の前にはたくさんの女の子の姿があった。中には、カップルも混じっているし。  気後れしつつも、チョコの表面に、大好きだの愛してるだのキモチが書いてあるものを、必死に探し出した。 「あ、これ……何かいいかも」    シンプルな箱の中に、大きなハート型のチョコが入っていて、その表面に白い文字で『スキです』と、一言だけ書いてある物。  思い切ってそれを手にし、レジに並んで購入。あえて、包装をしてもらわなかった。 「喜多川、これが僕のキモチなんだ。受け取ってくれ!」  そう言い放ち、手の中に押しつけるように手渡して、脱兎のごとく逃げる。なぁんて作戦を考えつく。 「先輩に告白したときも、そうだったけど、こういうのは、勢いが大事だよな。うん!」  ほくほくしながらバレンタイン当日まで、他にもシュミレーションを考えて、その日を待ちわびた。

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