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男子高校生 西園寺圭の真実の恋番外編 ~雨~②

***  突然話しかけてくれた先輩のお陰か、無事に学年代表の挨拶が出来た。  その後、クラスメートと一緒に教室に戻ったら。 「なぁなぁ、御堂だっけ、お前?」  目の前に現れ、馴れ馴れしく話しかけてきたソイツに、こくりと頷いてやる。すると連れなのか、話しかけてきたヤツの肩を叩いてから、いきなり隣に割り込んで来て、肩を組まれてしまい、困惑するしかなかった。 「御堂くん、挨拶する前に2年の姫と喋ってたけど、もしかして君ら、知り合いなのか?」 「2年の姫?」  聞き慣れないフレーズに眉根を寄せたら、目の前にいるヤツと顔を合わせて、何だかなーと呆れた顔をする。 「ここの学校の風習らしくてさ、各学年にいるキレイ目男子につけられる、あだ名みたいなものらしいよ。ちなみに俺ら1年にいる姫候補が、窓辺にいるアイツらしい」  割り込んできたヤツが、窓辺の席の一番前にいる男子に指を差したので、視線をそこにやった。  確かに整った顔立ちをしているけど、先輩に比べたら全然だな―― 「で、どうなんだよ。2年の姫と知り合いなのか?」 「全然。いきなり話しかけられただけ」 「なぁんだ。せっかくお前を介して、お近づきになれると思ったのにさ!」  ふたりはガックリ肩を落とし、目の前から立ち去ろうとした。 「あ、あのさ。ちょっといいか?」  思いきって話しかけてみる。どんな小さなことでもいいから、先輩のことを知りたかった。  学校のいろんなことに対して、詳しそうな二人に、先輩のことを根掘り葉掘り訊ねてみる。  2年の姫――名前は、西園寺 圭先輩。美術部で活動していて、昨年の絵画コンクールで、銀賞をとるくらい絵が上手とのこと。  それだけじゃなく…… 「西園寺先輩には、この間卒業していった、幼馴染の恋人がいるんだってさ。学校にいる間は、ふたり結構べったりしていたって話を聞いたけど、ソイツがいない今、お近づきになれるチャンスが到来だって、みんなが浮き足立っているらしい」  ――やっぱり、な。一瞬女子かと見間違えそうになるくらいキレイな人だから、競争率だって相当なものだろう。 「だからさ姫に接触すべく、一緒に美術部に入らないか? 御堂だって、狙ってるんだろ?」 「いや……そんなんじゃないけど。でも気になるのは確かかも」 「だったら、3人で入っちゃおうゼ! 3人で固まって先輩に質問したり、逃げられない体勢作ってさ――」  鼻息荒くした、クラスメートの話を聞きながら、ぼんやりと西園寺先輩のことを考えてみた。  何となくだけど、お近づきになるのは難しい気がしたから。

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