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アルのプレゼン

「………」 「………」 部屋がしーんと静まり返る。俺も星野さんも同じような顔をしてアルを見てた。アルはそんな俺たちの反応に逆に不思議そうな顔をしている。 「…ねぇ、この人飼ってもいい?」 「……なっ」 アルは聞こえていないと思ったのかもう一度俺を星野さんの方に突き出すと首を傾げて同じことを訪ねた。そこでやっとハッとして星野さんが口を開いた。 「な、何言ってるんだ、飼うって捨て猫や捨て犬じゃあるまいし…」 「……でもゴミ捨て場で拾った…」 「嘘つくんじゃありません!!」 「…ほんとだもん」 アルが拾った猫を元の場所に返して来なさいと言われた子供みたいに俺を抱きしめてイヤイヤする。星野さんは俺に度々謝って申し訳なさそうにしながらアルの説得をしようとしていた。そしてその間俺はアルのあまりの自由さについていけなくて固まっていた。 「だいたい杉田さんにだって杉田さんの生活があるんだから迷惑だろう?」 「…そんなことないし…えっと…杉田さん?杉田さんも俺と一緒にいれたら嬉しいよね…?」 「……へ…?」 突然話を振られて現実に引き戻された。5年ぶりに銀に呼ばれた名前はよそよそしさ満載だったけれどそれでもなんだか胸の所がじーんとした。そしてその時、なんだかよくわからないけれどいつかまた『まな』って呼んでもらうんだっていう決意見たいなものが胸で固まったような気がした。 一緒にいたらいつか思い出してくれるかもしれない…それにこのチャンスを逃したら今度は本当にもう会えなくなってしまうかもしれない… 「…そう…だね?」 「!?」 「ほら」 アルがふふんと勝ち誇ったような顔をする、俺はその時銀の記憶を戻すんだって決意を固めてじっとしてたけど星野さんはなんだか突然味方に裏切られたような表情をしていた。 「ね?いいでしょ?そしたら星野さん毎朝俺のご飯準備しなくていいし、洗濯もしなくていいよ?」 「!!」 どうやらアルは俺の料理が気に入ったらしかった。そして星野さんはアルのその提案には少し惹かれていた。 …俺、家事要員なんだ…まぁいいんだけど…ていうか星野さん、苦労してたんだろうな… なんとなく星野さんがこの手のかかるアルの世話を一手に任されていたんだろうなと思うとその苦労は察するに余りある。 「……相性よかったのは元々セックスしたことあったからだったんだね、ねぇ?たくさんしてたの?」 「!?」 「アルッ!!」 「…?なんで?いいじゃん恋人だったんだし…それに杉田さん飼っても良くなったら星野さん言ってたみたいにオレいろんな人連れ込まなくなるかもよ?」 「!!」 この発言も星野さんの心に刺さったようだった。 というかアルは何より俺と、その…体の相性が良かった所が気に入ったらしかった。 流石にいくら決意を固めたと言ってもそんなこと人前で話されるのは恥ずかしかった。 「ね?ねぇいいでしょう?」 「ッ〜〜〜!!」 星野さんはアルの提案を魅力的に感じたのか俺とアルを交互に眺めて理性と本能が葛藤しているような複雑な表情をしていた。

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