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カメリア芸能事務所
そして次の日…
「お…大きい…」
俺は約束の時間にカメリア芸能事務所を訪れたていた。
実は名前もあまり聞いたことないしそんなに大きな事務所じゃないのかなと思ってたんだけど…そんなことなかった…
どうやら目の前にそびえ建っているビルが一棟そのままアルの所属する事務所らしい。大きくて、真っ白で、窓も沢山ついた比較的新しそうな建物だった。
……間違って…ないよな…?
周りをキョロキョロするけどさっきからちょこちょこスーツを来た人たちや、もしかして芸能人の人なのかなって思うような顔の整った人が出入りしてるし、何より看板に『カメリア芸能事務所』と書いているから間違い無いと思う…
……俺が勤めてる会社なんかよりずっと大きいじゃないか…
そのでかさに若干圧倒され緊張が増したけど約束の時間が迫っているし中へ急ぐ。事務の女の子に名前と約束がある旨を伝えるとすぐに話が通って『迎えが来るので少々お待ちください。』と言われた。
「………」
ロビーに置かれたふっかふかのソファに座って待つけど落ち着かない…
えっと…確か面接はノックはゆっくり三回で…どうぞって言われたら入って…お尻を見せないようにドアを閉めて……なんか…緊張してきた…
そもそも人見知りで面接は苦手なのに予期せずこんな大きな会社で緊張しないわけがなかった。
な、なんかお腹痛いかも…
「あ!!杉田さん!!」
「っひゃ、ふぁい!!」
一生懸命手に人を書いていたら突然声をかけられて驚いて変な声が出た。返事と同時に慌てて立ち上がるけど勢いで膝から鞄が落ちて中身が散らばり余計に焦ることになってしまった。
「わっ!!大丈夫です?すいません突然声をかけてしまって…」
「い、いえ!!こちらこそすいません…」
声をかけてきた人は昨日のアルのマネージャーの星野さんだった、知った顔に出会えて少しだけ緊張がほぐれる。星野さんは一緒に鞄の中身を拾ってくれた。
「こっちです、ついてきてください。」
「は、はい」
鞄の中身を拾い終えると星野さんは俺をエレベーターへと案内した。30階のボタンが押される、どうやらそこが最上階のようだった。エレベーターが動き出すと星野さんが口を開いた。
「スーツでいらしたんですね、本当にそんな硬くならなくてもいいのに…って…言っても固くなっちゃいますよね…」
「ははは…」
星野さんと一緒に苦笑いする。なんとなく星野さんは自分と似たような雰囲気があってそんなに緊張せずに接することができた。
社長さんも星野さんみたいに優しい感じの人だといいんだけど…
そうしているうちにちーんっとエレベーターが目的の階についた音が鳴って扉が開いた。この階はやはり他の階と扱いが違うのか赤い絨毯が引かれ、絵画や立派な花が飾られていた。
なんだか高級なホテルって感じだ…
星野さんは少し歩くとある扉の前で止まりそのドアをノックした。
「星野です。昨日お話しした杉田さんお連れしました。」
星野さんがそう言うと中からどうぞと男の人の声がした。
いよいよだ…
星野さんはドアを開けて中にいる人へ会釈をすると俺に視線を向けてドアを開けたまま中にどうぞと促してくれた。
「し、失礼します。」
しっかりイメトレした入室のマナーも必要なくなってしまったけれど仕方がない。胸の内ポケットに入れた指輪にスーツ越しに触れて自分を奮い立たせ一歩ふみだした。
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