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はじめてのお勤め
「……俺、その名前で呼ばれるの嫌い…」
「…へ?え……」
「……『銀』って、呼ばないで」
「……え…あ、ご…ごめん…」
アルにそう言われてなんだか銀を否定された気持ちになってしゅんとするけど落ち込んでるうちにアルが迫ってきてそれどころではなくなってしまった。
今は先にこっちをなんとかしないと…!!
「あ、アル!!」
「……?」
「え、えっと……な、なに…?」
「………」
アルの動きがピタッと止まる。アルは何言ってんの?って顔をしていた。
いや…俺も『なに?』もなにもエッチしたがってんだっていうのはわかってはいるんだけど……なんか唐突すぎるし、まだあまり慣れてない部分もあって抵抗感もあるし…やんわり拒否してみたら逃げられないかな…みたいな…
「なにって…セックスしたいなって…」
「セッ…!!…お、おぉ…」
でもアルは平然とそう言ってのけ、あまりの恥じらいのなさに逆に俺が照れている間に俺の服の間に手を入れてきた。慌てて逃げるように体を上に逃がすけど、すぐにベッドの端まで来てしまって逃げられなくなる。
記憶に残っている高校時代のものより幾分か色気が増した銀の顔が近くに来て顔が熱くなって心臓がうるさい。
に、逃げられない…
「…っうぁ…」
「………」
『銀』の顔が近くて、なんだか恥ずかしくてたまらなくなって目を閉じる。
キスされる…!!
「ッ〜〜〜〜!!」
「………」
「…………?」
キスされると思って不安とちょっと期待が入り混じった気持ちでぎゅっと目を閉じて唇をきつく結んでた。でも予想してたものはなかなか来なくて恐る恐る目を開く。
「…んー…」
「………」
アルの顔がすぐそばにあったけどアルは俺の着ているシャツのボタンを外そうと一生懸命でキスする様子は見られなかった。
……ふ、服脱がしてただけか…
勝手にちょっと期待してしまってた自分に恥ずかしい気持ちになる。アルはその間もボタンを外すのに手こずってるみたいで唸ってた。
「……できた…」
「………」
やっとぼたんが全部取れて服を脱がされる。
アルが裸になった俺の体を頭からつま先までじーっとみていた。
電気ついてるし窓も全部カーテン開いてるのに…
自分で自分の体を見下ろしてみても全てライトの下ではっきりと見えていて恥ずかしかった。キスを勝手に期待してた恥ずかしさがこっちの恥ずかしさに塗り替えられる。
銀相手なら電気消せって怒るけどでも相手は銀だけど銀じゃないし…
恥ずかしくって体をひねって隠そうとしたけど手をアルに抑えられて上半身がべッドの上で仰向けの状態で動けなくさせられる。
「……だめだよ……『お仕事』でしょ…?」
「ッ!!」
そう言われると抵抗できなくなってしまう。
アルがチラッと視線を向けて俺が閉じてる足を開くように指示してきた。
きっと俺の顔はもう真っ赤だったと思う。
仕方なくもじもじしながらゆっくりと擦り合わせていた太もも同士を離して足を開いた。そこはもう見られただけで頭をゆるくもたげていた。
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