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好タイム
その後トレーを持って戻ってきた山田さんからコーヒーと簡単な朝食(といってももう昼だけど)をいただいた。どうやらさっきの社長の『いいほうね』っていう発言は俺たちの2時間の遅刻についての感想だったらしい。『和也に初めてお願いした時は4時間だったわ』と社長は笑っていた。朝食も俺らの遅刻を見越して用意してくれていたものみたいだった。
「……おいしい…」
「………」
アルはマシュマロが大量に乗って上の部分がほぼ真っ白なココアを飲んで幸せそうにしてた。
なんだか『銀』の時には見れなかった幼い表情だからレアな感じする…ていうか俺も本当はココアがいいんだけどな…
そんなこと社会人にもなって言えるわけもなく黙って苦いコーヒーを飲む。普段飲む時は半分は牛乳にするし砂糖も2つは入れてたから苦い…
こうして一通り食べ終わると社長は山田さんへ目配せをして何かの資料を持って来させた。ファイルと一緒にタブレット端末を受け取っている。アルは食べ終わって満足したのかまた俺の膝を枕に眠ろうとしたのでこれから話が始まりそうだからと起きているよう伝えた。
「さて…じゃあご飯も終わったことですし少しお仕事の話をしましょう。アル、学、昨日ってなんの日か知っているかしら?」
「…昨日?」
「知らない」
アルが即答する。俺に眠ることを阻止されて少し機嫌が悪いみたいだった。
…でも俺も思い当たるようなことはないぞ…俺の引越しはあったけど…
わからないので素直にそう答えた。すると社長は『学はそうよね』と笑った。
「実はね、アルのはじめての広告の公開日だったのよ。」
「!!」
アルが写っていたあの化粧品の広告を思い出す。
俺とアルが出会って次の日に撮影されたやつだ…
なぜか本人であるはずのアルは首を傾げて『なにそれ』なんて言っていて写真を見ても『うーん、あー』と思い出したのか出していないのかよくわからない声を出していた。
あ、だからもしかして星野さん忙しそうにしていたのかな…
「それでその評判なんだけど…」
「………」
なぜか俺がごくんと息を飲んだ。
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