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話題の中心

「それでその評判なんだけど…」 「………」 ゴクッと喉を鳴らしてつばを飲みこむ。 アルの今後に関わる大事な問題だ…それに今後アルがモデルとしてうまくいってくれなかったら必然的に俺も仕事を失うことになるかもしれない…そういう意味では俺の今後にも関わってくる… 当の本人であるはずのアルはもはや全く興味がないみたいでココアに溶けたマシュマロの白いスジの跡を目で追っていた。 そしてついに社長が溜めに溜めて持っていたタブレットをこちらに見せた。 「うふっ、なんと昨日の夜から検索トップに 入りっぱなしよ」 「!!」 社長が見せてくれた画面にはアルが広告をした化粧品ブランドの『ATE(エイト)』の名前と、アルを示す言葉が並んだ検索ワードの検索数を示すグラフが描かれていた。検索ワードには『ATE 新CM 男性モデル』とか『エイト 白髪イケメン』などなどがあった。その上に書かれた折れ線グラフが時間が経つにつれて上昇し、傾きは緩やかになったものの今も高い位置を示していた。 タブレットが手渡され下にスクロールしていく。各SNSでの関連したコメントなんかも 載っていて『ATEのCMのモデルってだれ!?』『なんかエロチックな感じで良かった〜リップ買おうかな〜』『なんかあの最近よく見る俳優に似てない?』などなど話題になっていた。 ……やっぱり…中身は別として顔は上の上なんだな… 俺の隣でココアの表面の模様に夢中なイケメンを見てそう思った。そして社長が嬉しそうに口を開く。 「今日は朝から事務所の電話がなりっぱなしで和也が対応に追われているわ、やっぱり私の目に狂いはなかったみたいね」 社長は目をキラキラさせて満足そうだった。アルも少しだけ興味が出たみたいでこちらに顔を向けたので評判を教えてやると『そっか』と心なしかホッとしたような顔をした。社長がパッと立ち上がり窓のそばに立つ。遠くを見ているみたいでそのままの体勢で大きく深呼吸した。 「さぁ、アル、学忙しくなるわよ」 「よ、よろしくおねがいします…!!」 「えぇ…やだー…」 対照的なトーンのアルと俺の声が部屋に響いた。

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