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売り出しに向けて
「私はこっちの雑誌がいいかなと思います。インタビューもあるそうなのでアルの内面と外面のギャップをアピールすることで……」
「な、なるほど…」
「でもこちらはインタビューは付きませんが見開きページで使ってくださるようでしたし、若手イケメン俳優やモデルの登龍門と言われる雑誌で…」
「………」
雑誌を数冊持ってきてそれをペラペラとめくりながら星野さんが説明をしてくれる。けれども実はファッション雑誌をほとんど読まない俺には雑誌の良し悪しがよくわからなかった。星野さんはこういう業界で働いているだけあって詳しいようで俺に細かく説明してくれているけどやっぱり俺にはイマイチ違いがわからない…
……こういう時志波なら話についていけるんだろうな…
高校時代に日本を離れイギリスでモデルになったハーフの友人の顔が思い浮かんだ。
「……ではこちらのインタビュー付きの雑誌ということでいいですかね?」
「へっ!?あ、はい!!」
一瞬ぼんやりとしていたらいつのまにかアルの次の仕事がきまったようだった。どうやら今度はインタビューがあるらしい。星野さんがアルを起こしそのことを伝えていた。そして思い出したように口を開いた。
「そうですね…これからしばらくは肌と体型のためにアルには健康的な生活を送らせてください。野菜を食べさせて、できればたくさん寝れるといいですね」
「は、はい」
「えぇー…」
アルがうえっと顔をしかめた。こっちにそんなことしないよね?と媚びた視線を送ってきて視線が痛い。
「あとは…インタビューの練習ですね。」
「…?練習?」
「はい、練習です。」
星野さんがにっこりと笑う。でも俺が不思議そうな顔をしていると星野さんが追加で説明してくれた。
「あ、えっとですね、例えばですが…アル、『昨日の夜は何をして過ごされてたんですか?』」
「…?昨日?杉田さんとセックs…」
「うわぁぁぁあぁあ!!」
「こういうことにならないための練習です。」
顔が途端に熱くなった。
や、やっぱり星野さんも知ってるんだ…!!
ていうかなんで具体例の質問がそれなんだ…
でもインタビューの練習の必要性は十分にわかった。アルは素直すぎる…
「では…早速今日から始めていきましょうか。」
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