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夜の気配

「………」 横になってどれぐらい経っただろう…なんだか人の動く気配を感じて目が覚めた。布団を被ったまま目だけ開いて周りを見回してみる。 ………アル…? するとちょうどアルが部屋から出て行くところだった。アルは音を立てないようにそうっと部屋から出ていった。なんとなくしょぼしょぼする目をこすりながら起き上がってみる。 トイレか…?でもさっき寝る前にもいってたし…まだそんなに時間も経ってない… 「……アル?」 少し呼びかけてみるけど返事はない。どうやらリビングの方にいるみたいだ。時計を見てみるとさっきおやすみと声をかけてから30分も経ってないようだった。 ………もしかして…またお菓子を…? 突然アルのしているため可能性の高そうなことが頭に浮かんでハッと意識が覚醒する。 やばい…流石に前日の夜中はやばいんじゃないか…?なんかよくわかんないけどむくみとか… そうなってしまったら大変と慌てて布団から抜け出してリビングへ向かう。電気が付いているからやっぱりそこにいるらしい。 最近あんまり夜食べないと思ってたら俺が寝た後にわざわざ起きて食べていたなんて…!! 少しモヤモヤしたものを感じながらアルを現行犯で捕まえるべくリビングの扉をそっと開け隙間から覗く。するといつものお気に入りのソファに座るアルの姿が見えた。 「……いち、にい…さん、しい、ご、ろく…」 机の上に何かを乗せて数えてるみたいだった。 6って…そんなたくさん食べて…!! 注意してやるつもりでドアを勢いよく開けた。 「!!」 「ちょっとアル!!夜にお菓子はダメだっていっ…て……」 「………」 アルがびっくりした顔でこっちを見上げている。机の上には何やらお菓子のラムネのような白い粒が並んでた。 ……お菓子…じゃない…? てっきりお菓子かと思っていたのできょとんとしていると、今度はアルがハッとしてバツの悪そうな顔をした。そこで社長の言葉を思い出した。 『アル…意識が戻ってからずっと睡眠薬を使わないと眠れないのよ…』 俺もハッとしてアルの顔を見る。 「……眠れ…ないの…?」 「………」 アルは何も答えない、なんだかそれが苦しそうに見えて俺も苦しいきもちになった。 「でも…なんでこんな隠れて…」 「………だって…」 そういうとアルは一旦キュッと唇を結んでから再度口を開いた。 「……前…家来た女の子が変だって…」 「………」 「………男なのに眠剤なんてって…」 アルは俺に睡眠薬を飲んでたことがばれて恥ずかしく思ったようだった。悪いことがバレたみたいにシュンとして座っている。なんだかアルがひどく寂しそうに見えた。

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