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脱力系モデル

こんな風にしてアルの自由すぎるインタビューは雑誌に掲載されたけれど、それはそれで功を奏していた。今時のモデルらしくない脱力感と気取らない性格、それに反した圧倒的ルックスは大いにウケてアルはデビューから数ヶ月とは思えないほど人気になっていた。今も今日3つ目の現場だった。 「あぁぁ……アルは絶対シュノンボーイ系な路線で行こうと思っていたのに……」 回想を終えてみると星野さんがまだ唸っていた。星野さんはあれ以来ずっとこんな感じだ。星野さんには星野さんで憧れのモデル像があったようだ… 確かにアルは外見だけなら激戦区?であろう国民的正統派イケメン枠も十分狙えそうな感じだもんな…外見だけなら… ファッション誌のシュノンの今月号の表紙写真を眺め目をうるうるさせている星野さんを慰めていたら目の前のドアが開いて当の本人のアルが顔を出した。アルが涙目の星野さんを見て『ッゲ…』と嫌そうな声を出す。どうやら今日の服の確認のため出てきたみたいだった。スタイリストさんが星野さんを見て、困った顔をしながら『どうですか?』と尋ねている。 「………今日はせっかくいい天気で外での撮影もあるのでもっと明るい感じの…なんならカラージャケットとかで…っう…うぅ…今月のシュノンでもカラージャケットの特集してたぁ…ッウェッ…」 「ちょ、ちょっと星野さんえずかないでください…すいません…それで大丈夫です…」 「…ぜめでぐづじだだげは明るいのにぃ…」 「………すいません靴下だけ何か明るい色のものにしてあげてください…ほら、星野さん顔洗ってきてください…」 「…あい…うぅ…」 「先にアル連れていっておきますね。」 「ずびばぜん…」 こんな感じでまぁ問題なしとは言えないけれどアルの仕事については順調だった。俺も仕事に慣れてきて一人でできる仕事も増えていた。そしてその話が舞い込んできたのはそんな時だった。

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