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再会2

「………学…?」 「……?」 頭を下げたら突然下の名前で呼ばれて一瞬何が起きたのかよくわからなかった。ただ頭を再起動させて考えるとその声に思い当たる節があった。でも俺が覚えてるその人の記憶は銀のものよりももっと古い…6年以上も前の記憶だ。 そんな…まさかこんなところで… いつの間にか星野さんとアルの言い争いの声も止んでいて、二人ともこっちの何だかおかしな空気を感じ取っているみたいだった。下げていた頭をゆっくりとあげる。 「……しょ…内海先輩…?」 「………」 「………」 それは高校時代、銀との関係に自信が持てなくて揉めてしまった時にお世話になった内海翔(うつみしょう)先輩だった。元々俺を好いてくれてたこともあって一時期付き合っていたが、自分の気持ちを殺してまで俺と銀との関係を後押ししてくれた。銀とそういう関係になれたのは本当に内海先輩のおかげだと思っている。感謝してもしきれない恩人だった。 「……あ……」 「…………えっと……久しぶり…だね」 内海先輩がぎこちなく笑って首を傾げる。先輩は別れた時よりも肩幅が広くなって、黒いVネックのシャツに細身のダメージジーンズを履いていて、アクセサリーもつけて大人の男の人って感じが増していた。トレードマークの赤い髪色と片側だけ編み上げてハーフアップにまとめた髪型はそのままだったが全体的に髪が伸びたみたいだった。びっくりしすぎて声も出せず身動きも取れなかった。 「……えっと…お知り合い…ですか?」 そんな時に後ろにいた星野さんから声がかかった。その声にハッとする。内海先輩もそこでやっと俺以外に目線がいったらしくアルを見て改めてハッとしていた。アル自身はまぁ当然なんだけどなんでそんな目線を向けられるのかわからなくて呑気そうに首を傾げてる。 「あ…はい、あの…えっと…高校時代の先輩で…」 「あぁ…なるほど」 なんて説明するか迷ったけども『元彼です。』なんて複雑な話が始まりそうな説明をするわけにもいかず無難な説明を選んだ。 ………もしかして内海先輩、嫌な気持ちになったかな… ちょっとだけそれが気がかりだった。そんな時ドアからスタッフの方がひょこっと顔をのぞかせた。 「内海さん、もう準備はおわって…って…まだ始めてもないじゃないですか!!ちょっともう他の方スタジオ入り始まってるんで早くしてくださいよ。」 「あっ!!すいません今すぐにします。…………えっと、じゃあとりあえず鏡の前に座ってもらっても……」 「あっ、はい!!そうですね、ごめんなさい!!ほらアル、こっち座って…」 そういえば今は大事なテレビ収録前だった事を思い出してアルを除いた全員が慌ただしく動き始める。どうやら今日のヘアメイクを担当するのは本当に内海先輩みたいだった。

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