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未熟な気持ち
正面から大きなライトで光を当てられて、黒いおっきなカメラがこっちを見ている。オレは、星野さんに教えてもらった『ひなだん』っていうところに座っていて少し離れたところにあるテーブル?の前ではなんか声のおっきい、面白いおじさんと綺麗なお姉さんが立ってお話をしていた。おじさんに関してはずっとしゃべってる。
疲れないのかな?
「お前それはわさびやがな!!」
「………」
ドッと周りで笑いがおきる。でもオレは別のことが気になってそれどころじゃなかった。おじさんは置いておいて気になっている方へ視線を戻す。
………また話してる…
オレの見ている先、スタジオの端の方では杉田さんが『すたいりすと』っていう赤い髪の男と話してた。
……さっき…休憩の時、次は見てるって言ってたのに…
なんだか胸のところがもやっとした。
なんかあの赤い髪の人、オレの髪いじってる時も話しかけてきてたけどオレとか杉田さんの事知ってるみたい…まぁ昔のオレの事だけど………名前もさっき聞いたけど忘れた…
オレは別にそんなやつどうでもよかったけど杉田さんは嬉しかったみたいでそいつといっぱい話していた。そいつと話している杉田さんはよくは見えなかったけどなんかにこにこしてご機嫌に見えた。
オレと一緒にいる時はいっつも困った顔ばっかしてるくせに…
また一瞬頭の奥の方と胸が痛んだ。なんだか前杉田さんとえっちした時に来たズキズキと同じようなズキズキだった。
「おい、お前、お前や、アル!!お前はどうなんや」
「んぇ?あ……ごめん聞いてなかった…」
「お前ほんと自由なやっちゃなぁ〜」
そんなことを思いながらぼんやり杉田さんの方を見ていたら『しかいしゃ』っていうらしいさっきの声の大きいおじさんに突然声をかけられた。なんの話かよくわかんなくて首を傾げたらまた周りがわっと笑った。なんだかよくわからないけれどこれが『ウケてる』って事らしい。いい事だって星野さんに言われた。
オレ別に何もしてないんだけど…
でもいっぱい話しかけてもらえてるし、今のはみんな大きい声で笑っていたからちょっとだけ期待して再度杉田さんに目を向けてみた、でも杉田さんはやっぱりまだあいつと話していて、オレがウケたところは見てなかったみたいだった。
「……ちぇ…」
なんだかモヤモヤして面白くなかった。でもそれがなんでなのか、何が原因なのかがわからなくてもっとモヤモヤした。
………なんでオレのこと見てないの…
赤い髪の男相手ににこにこしている杉田さんの顔を見て余計にまたモヤモヤが増した。
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