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態度で示せ

「………」 社長室を後にして廊下を歩く。どこかへいく用事があったわけではなかったけれどなんだか足を動かしてないと落ち着かなかった。 「あ、アル、社長の用事は終わったの?」 「………」 「…その様子だと終わったみたいだね?」 しばらく廊下を歩き回っていたら星野さんに会った。まだ頭がぐるぐるして心臓がドキドキいっていた。どうしたらいいのかわからなくなって俯く。星野さんはそんなオレをニコニコしながら見ていた。 「………星野さん…オレどうしたらいいかな…」 「……アルはどうしたいの…?」 「…………」 どうしたらいいかわからなくて黙り込む。 だってお仕事はある日お兄ちゃんに連れてこられてそれで決まったお仕事だったし…正直わからない… すると今度は杉田さんの顔が浮かんだ。 記憶をなくす前のオレが好きだからなんだろうけど優しくしてくれた…芸能界で仕事するなんてすごいって…オレ以上によろこんでくれていたし、オレが楽しくお仕事できるようにって色々助けてくれた… 杉田さんのことを考えるとなんだかざわざわした胸の中が落ち着くような感じがした。 「………杉田さんと、元どおりになりたい…」 そう思うとぽろっと口から言葉が漏れていた。そんなことを自分が言ったことにオレは驚いたけれどなぜか星野さんは満足そうだった。ちょっと恥ずかしいようなバツが悪いような気がして黙り込む。 「……そっか…」 「………うん……」 星野さんはそれ以上何も言わずにうんうんと頷いてくれた。 「………椿が…態度で示せって言ってた…」 「…そっか…でも、確かにそれがいいかもね…」 「………」 「…アル?」 星野さんが急に黙ってしまったオレの顔を覗き込む。 …でも態度でって…どうすれば… 実はまだなんで杉田さんが怒ったのかわかっていなかった。椿に一度聞いてみたけどそしたら『教えるのは簡単だけどそれは自分で気づかないと意味ないんじゃないかしら?』と言われて誰かに聞くのはやめた。 というか…わかってたらもう謝りに行ってるし… その後態度で示す方法を一生懸命考えて1つだけ思いついた。というか…結局それしか思い浮かばなかった。それが正解かはわからないけれどやるしかない… オレが考える間ずっと待ってくれてた星野さんに声をかける。まっすぐに目を見てそれを伝えると星野さんは『そっか…』と呟いた。 「アルがそう決めたんなら僕は力になれるよう頑張るよ。」 「………」 「じゃあ、今日は遅くなっちゃったし帰ろうか?」 「あ、あのっ…星野さん…」 「…?…なに?アル?」 うーんっと伸びをした星野さんが振り返って首をかしげる。なんだかくすぐったいような、もぞもぞする感じがした。 「……あ、ありがと…」 そういうと星野さんは驚いた顔をしてから優しい顔で笑って『なんだよ〜』なんて言って嬉しそうだった。 ご機嫌な星野さんの後に続きながらもう暗くなってしまった窓の外を眺める。 ………待っててね…杉田さん…

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