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現地にて
「…うーん…?」
駅のベンチに座って首をかしげる。俺は今、今朝山田さんに言われた新しい広告の反響調査に来ていた。指定された時間より早く最寄りの駅に着いたので受け取った資料に再度目を通している。
やっぱりないよなぁ…
今朝受け取って見た時も思ったが資料には詳細な時間や場所、実際のモニターがある交差点の写真なんかはあったけれどだれが、どんな広告に出るのかが一切書かれていなかった。
資料ってこんなもんなんだろうか…?いやでもさすがにどこかに書いてそうな情報だし…もしかして俺落とした…?いやでもページ数的には抜けはなさそうだし…
なんだか不思議な資料に再度首を傾げる。
なんの広告でどんな人が出るかわかってる方が反響の予想がつけられて仕事がやりやすいかなと思ったけど仕方がないな。
そんな気持ちでバインダーをしまって目的地である交差点を目指した。
「……わ、人すご…」
駅のそばで夕方の帰宅時と被ったこともあって交差点は人がごった返していた。何度も信号が変わっているが一向に人が途絶えない。でも近くのビルに取り付けられている大型モニターは確認することができた。今は清涼飲料水のCMが流れていた。時計を見ると時間ももうすこしと言う所だった。
「………」
上手いこと見つけた交差点のそばの段差に腰を下ろす。すると目の前を制服を着て、ふざけあって歩く男子高校生2人組が俺の前を通り過ぎていった。それから仲睦まじそうに歩くカップルも…そして最後に俺と同い年ぐらいの、スーツを来た男の人2人がなにかを話しながら通り過ぎでいた。
………もし……銀が事故にあってなかったら…俺のことを忘れてなかったら………アルじゃなくて…銀だったら…
なんだかまた何かが込み上げて来そうで俯いて自分の手を握った。銀がくれた指輪に触れて思わず目を瞑る。
ちょうどその時だった。
「!!」
モニターから煌々と降り注いでた光が一度ふっと途絶えて周りが暗くなる。それからパッとまた周りが明るくなり、一拍おいてから通行人の人たちがざわざわするのを聞いて慌てて顔を上げた。それからモニターを見てハッとする。
「……アル…」
そこに映し出されたのはアルだった。
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