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でもね、アル
アルの広告を見たあと、すぐに星野さんに連絡した。星野さんは俺が連絡することをわかってたみたいにすぐに電話に出てくれて嬉しそうにアルの仕事について教えてくれた。俺に態度で示すために仕事を頑張っていたらしい。最近アルがあまり家にいなかったのもそのせいだった。女の子のところに行ってるのかもなんて思ったことを少し反省した。
「あの…ね、おれ…」
「……うん…」
えっとね、うんとね…と言葉に詰まりながら何か言おうとするアルの手を握ってアルが伝えたい言葉が出てくるのを待ってやる。あのっ、あのっ…って一生懸命に話そうとするアルはなんかちょっとかわいかった。
「その…杉田さん……ごめん、ね…」
「………」
「お、おれ…その……ほんとはね…まだ杉田さんがなんで怒っちゃったのかわかんなくって…」
「………」
「か、考えたんだよ…?でも…その…だめ、で…わかんなくって…」
「………」
アルの声がシュウンっと尻すぼみになって聞こえなくなっていく。アルは心底申し訳なさそうな顔をして俯いていた。
でも実はこの話は星野さんから聞いて知っていた。星野さんも申し訳なさそうに…
「アル、ずっと一生懸命考えていたけどわからないみたいで…だから正直に『わからない』って言えたら許してあげてほしいな…」
って言っていた。それに俺もアルがなんで俺が怒ったのかを一生懸命考えてくれたならいいと思っていた。
アルは事故のせいでなのかそういう人の気持ちの部分でわからないことが多くある。でも、言っていいことと悪いこともある…しかたないじゃ済まないことも…だから…だから俺が教えてあげればいい。
「アル…」
「………?」
「大丈夫だよ。もう許すよ。」
「!!」
「俺も大きい声出したりしてごめん。」
そういうとアルはぶんぶんと首を横に振った。心なしか顔が明るくなったようだった。
「でもね、アル…」
「……?」
「俺はね、翔さんと…あのスタイリストの人と俺がえっちしてくるってアルが思ってたことが悲しかったんだよ…」
「………?」
「言ったよね?えっちってそんな簡単にするもんじゃないって」
「……うん…」
「うん、そうなんだよ…アルにとっては違うのかもしれないし、好きじゃなくてもえっちするって人もいるけど…うーん…なんていうんだろ…やっぱりえっちは好きな人とするものだし、俺はそう思ってるんだよ。」
「………好きじゃないの…?」
「…好きだよ…好きだけど…好きにも種類があるんだよ…俺は翔さんのこと、好きだけどえっちする好きとは別の好きなんだよ。」
「………」
そういうとアルはわかったと言いつつ首を傾げた。理解はしたけれど納得はしていないって感じだった。
アルにもそのうちいろんな種類の好きができて、好きの種類がわかるようになるといいな…
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