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穏やか
「……え…」
「………」
アルは俺を押し倒すと胸に顔を押し付けて動かなかった。
も、もしかして、シたかっただけ…??
さっきまでのほっこりした気分がさあっと引いていった。同時に顔が熱くなる。アルの肩を押して見たけどビクともしなかった。
「あ、あるちょっと待って…」
「………」
「だ、だめじゃないんだけど、お…お肉だけ冷蔵庫に…」
「………」
「……あ、ある…?」
「……Zzz」
恥ずかしいけど久々だし、肩を押したりはしてるものの俺自身、まんざらでもない心持ちでいた。でもアルがなかなか動かなくて顔を覗き込んでみるとアルは目を閉じ、さらに言えば口を開けて俺の服に盛大によだれを垂らして眠っていた。
ね、寝てる…
なんだか一人で喜んだり照れたり慌てたりしていたことに気づいてどっと疲れた…
はぁ〜っと天井を仰ぎながら大きなため息を漏らしてからアルを見下ろす。アルは穏やかな寝顔で俺に抱きついて眠っていた。
………最近忙しかったみたいだし…一緒に寝てなかったから眠れてなかったんだな…
改めて眺めたアルの目の下に色濃くクマがあるのを見てそう思った。そっとそのクマを撫でるとアルが『んぅ…』と呻いて顔を背けた。
……仕事もたくさんして…疲れてたみたいだもんな…
アルの背中に腕を回してとんとんと叩いてやる。アルの体からふっと力が抜けて完全に身を任せてくれているのがわかってなんだか嬉しかった。
………まぁいっか…
アルの子供みたいな寝顔を眺めているとなんだかどうでもいいような気分になってきた。再度天井を仰ぐ。
………そういえば…俺も最近書類整理で忙しかったし…眠い…かも…
そう思うとくあっとあくびがでた。アルの体温が伝わって暖かくていい気持ちだった。
カレーは…今度で…い、っか…
アルに習ってそのまま俺も眠ってしまった。
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