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再スタート
「ねぇ杉田さん…」
「…?なに?」
翔さんの帰りを待っていたら今度はアルの方から声をかけられた。
さっき声かけたら無視したくせにこいつ…
ちょっとだけそんな意地悪な気持ちでアルの方を見るとアルは唇を尖らせるのをやめてまっすぐこっちを見ていた。相変わらずの突然の変わりようにビビってしまう。
…なんだか銀相手だった時に真剣そうな視線向けられることって少なかったから、その昔のイメージのせいかこの顔で真剣に見つめられるとなんていうかその…身構えちゃうんだよな…
頬が熱い気がして、恥ずかしくアルから視線をずらす。でもアルは気にせず続けた。
「………前…杉田さん怒らせちゃった時あったじゃん…」
「え…うん…」
「……その時さ…」
「……?」
そこまでいうとアルは言葉を詰まらせてさっきまでの俺みたいに俺から視線を外した。明後日の方向を見たままアルが口を動かす。
「……なんか…杉田さんがあいつ……翔、さん…?と仲良くしてるのがやだった…」
「………」
「なんか…胸んとこ、きゅうってなって意地悪な気持ちになった…」
「!!」
「………それで…多分…やなこと言った…」
「………」
「……ごめん…」
アルは『そんだけ…』と言って椅子に座りなおした。
それって…もしかしてヤキモチ…?
ハッとしてアルに改めて視線を向けたけどアルは少し不思議そうな顔で首を傾げているだけだった。
『………ていうか…もしかして、今回のいざこざの原因ってオレ…?』
そこでさっき翔さんの言おうとしていたことを思い出した。翔さんもヤキモチじゃないかって思ったんだ…
アル…俺にヤキモチ妬いてるの……?
アルはまだ自覚していないみたいだったけどその気持ちの変化が嬉しかった。
少しは俺のこと気に入ってくれてるってことだよね…?
たまらなくなって不思議そうな顔で居心地が悪そうにしてるアルの肩を叩いた。アルがビクッと体を震わせてからこっちを見る。相変わらず不思議そうな顔をしてたけど俺はにやけ顔を隠すことができなかった。
「アル!!収録頑張ってね!!」
「……う、うん…?」
こうしてアルの仕事も俺たちの関係も再スタートをきった。
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