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長い夜開幕
そして俺とアルがめでたく再出発を果たしてから少したった夜…
「…杉田さん教えて」
「で、でも…えっと…」
「前いきなりはダメって杉田さんが言った…山田さんと社長に聞いたらちゃんとほぐさないとダメって言われた。」
「や、山田さんと社長に聞いたの!?」
俺はアルに迫られていた。もうすでにアルのベッドの上にあげられ、その上で出来るだけ壁際に寄って逃げているがもうこれ以上は逃げられそうにない。アルがじりじりと近寄ってくる。
ことの発端はアルがすごく久々にシたいと言いだしたことだった。恥ずかしい気もしたし、久々なこともあって照れ臭かったけど完全に仲直りできた感じがあって嬉しかったし、アルが俺に嫉妬してくれたこともあって特別な気持ちで言ってくれてるのかもなんて思ったりもした。でもその日のアルは確かに特別な気持ちではあったものの俺の期待したようなものじゃなかった。突然うしろのほぐし方を教えてほしいと言い出して聞かなかった。どうやらこれも「わからないから教えてほしい」の一環らしい…初めこそアルが俺の体を気遣ってくれている!と感激したけれどよく考えると教えるってことは…その……俺が指示出したりするわけで…ど、どこをどう触ってほしいとか…どういう風にする、とか…とにかくそれが耐えられないと判断し、俺は抵抗していた。
「…ほら杉田さん脱いで…お仕事だよ…?」
「う…」
それを言われると弱い。「はやく」と急かすアルに促され仕方なくパンツを残して裸になった。腕で体を隠すけどアルがじーっと俺の体を見ている。恥ずかしさで顔が熱くなっているのがわかった。
「ん…教えて」
「…うぅ…」
1つ目の教えてがこんな内容になるとは思ってなかった…自分の発言が自分の首を絞めている…
過去の自分を恨んで歯ぎしりした。でももうここまできたら覚悟を決めるしかない。実際ほぐされずにするのは痛いしアルが覚えてくれるに越したことはない…ただすごく恥ずかしいけど…
「じゃ、じゃあ…」
仕方なく覚悟を決めて口を開く。『俺が教えるから』と大口を叩いてしまった手前教えられないということができなかった…
こうして俺の長い夜が始まった。
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