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片鱗
アルがゆるゆると動かしていた手をさらに緩慢な動きにするからそれがもどかしくて、半分理性の飛んだままやだって訴えた。そしたらアルは初めはえっと、えっと…っておろおろしていたのに、突然顔をしかめ、俯いて前髪に顔が隠れて見えなくなったと思ったらなんだか雰囲気が変わった。さっきまで余裕なんて全くないみたいな顔をしてたのにへらっと笑う余裕まであるように見えた。
「……あ…」
「…杉田さん……」
「……?」
「さっきのとこ…触って欲しかったんだね…」
「!!」
「ちゃんと触ってあげるね。」
「…えっ、あ、アル…?…ッア!!」
へらっと笑って、ちょっと意地悪な物言いで……なんだかそのアルは銀に似ていた。でも、だからこそ、アルでも銀でもなくて少しだけ怖かった。そう思ったけれど、すぐにずるんっと一気に指を引き抜かれて快感で頭が真っ白になってなにも考えられなくなる。
「痛いから泣いてプルプルしてるのかなって思ってたけど、気持ちいいからなんだね……えっち…」
「ッ!!」
快感の余韻が尾を引いているとアルは耳元でそんなことを言ってきた。その時にはもう、さっき一瞬気になったことなんて忘れてしまっていた。恥ずかしくてアルを睨んで見るけれどアルはなぜか楽しそうだった。反抗心で睨んでみたけれどもう体は焦らされ続けてくたくたで、そちらでも抵抗できるほどの理性は残ってないみたいだった。アルのものが後ろに押し付けられるとそれだけでこれからあることに期待して体が震え、後ろが自分の意と反して我慢できなさそうにそこに吸いつこうとする。
………ほしい…
俺自身思わずアルに物欲しそうな目線を投げかけてしまっていた。アルは満足そうに俺の体を見下ろして太ももから腰、お腹とゆっくり撫でる。それだけで期待してしまって俺のものはひくっと揺れていた。
……っも…やだ…むりぃ…
「……アル…あの……」
「…………」
「……ッ!!」
ずっとゆっくりを体を撫でるアルが焦れったくて思わず声をかけようとアルの顔に視線を向けた、するとアルはまたあの欲望むき出しの獣みたいな目で俺を見ていた。そのままゆっくりと俺の体を撫でている…それはまるでこれから捕食する獲物をゆっくり観察しているみたいだった。
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