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マネージャーと美容師とピエール
「そうなんだ?頬付くんはなんていうか…そういうのうまそうだったし、アルくんも上手なのかと思った…」
スタジオに移動しながら翔さんにアルの演技力について話すと翔さんは驚いていた。
「これでも相当頑張って練習して、やっと事務所からOKが出たところだったんです。」
『特にラブシーンが苦手みたいで…』と続けると翔さんは『そっかぁ、難しそうだもんね、ラブシーン…』と共感を示してくれた。
スタジオで荷物を下ろす。アルはすでにセットの中に立って今日のテーマや雰囲気についてピエールさんと話していた。
………ピエールさん…今日もデカイし目立つな…
ピエールさんは今日もびっくりするぐらい高い緑のエナメルの厚底ハイヒールを履いて、体にぴったりと張り付いた真っ赤なつなぎを着ていた。胸元はほぼおへそのあたりまで開いている…よほど遠くから見てもピエールさんだと一目瞭然だった。
「…ピエールさんあいかわらず目立つね…」
「えっ!?あ、そうですね。」
「…?」
「あっ、あの…ふふっ…全く同じこと思っていたので…」
おかしくて思わず吹き出しながらそういうと翔さんも一緒に笑ってくれた。
「ちょっとぉーう、なぁに?学と翔いい感じじゃナーイ?」
「あ、ピエールさん。今日はよろしくお願いします。」
「おっは〜☆シクヨロ〜。」
噂をすれば準備を終えたピエールさんがこっちに来ていた。アルは今度はライトの調整や小道具についての話に移ったみたいだった。
……近くで見ると改めてデカイんだよな…ピエールさん…
元から長身なピエールさんはさらに高いハイヒールの効果で2m近い身長になっている。けして小柄ではない俺でも見上げる身長だった。
「それでぇ〜?なんの話してたのよ〜、教えなさいよっ!!もしかして猥談っ!?ヤラシイっ!!」
「わいっ…!?ち、違いますっ!!た、ただアルがドラマに出るって話を…」
「ヤァね、冗談よ〜、学ったら可愛いわね。」
ウフフフと笑いながらピエールさんが俺の頭を撫でる。からかわれたと分かって釈然とせず、ピエールさんに恨めしい視線を向けた。
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