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実施レッスン

俺の視線に気づいてピエールさんは体をクネクネさせて怖がる仕草をした。 「怒らないでちょうだい。ドラマね…金8でしょう?椿から聞いたわ〜苦労してるそうじゃない?」 ピエールさんは社長と仲がいいらしい。なんでも昔からのしりあいなんだとか… そう言えば一緒にお酒も飲んだりもするって言ってた気がする… 「アルくんラブシーンが苦手みたいですよ。」 「えぇ〜!?ちょっとぉそれはアタシの出番なんじゃないノォ〜う??恋の伝道師と言われたアタシが直々に教えてあげるわヨォ、もちろん実施で♡」 「はは…」 『ど〜おぅ?』とノリノリのピエールさん越しに『ぶえっくしょん!!』と盛大にくしゃみをして何を感じ取ったのか周りをキョロキョロ見回して身震いするアルが見えた。一瞬ピエールさんにラブシーンの手ほどきを受けるアルを想像して面白かったけれど、本人真剣に頑張っているようなので今回は丁重に遠慮しておく。 でもまぁ…今後なんかしでかした時はお願いしてもいいかもしれない… 心の隅にそう留めておいた。 「冗談はとにかく…それでどうなの?何とかなりそうな感じはあるの??」 「…それが…あんまり……」 痛いところを突かれて思わず苦笑いする。 それがわかっていたら苦労はしていなかった。現在どうしたらいいかもわからない状態が続いていて少々焦りはじめてすらいた。 「そうねぇ…ラブシーンねぇ…」 「…ラブシーンかぁ……」 翔さんとピエールさんがうーんと首を傾げながら一緒に考えてくれる。その様子を見てふと俺なんかより2人ともこの業界のことに詳しいし…もしかしたら何かいいアドバイスをもらえるかも…と思った。 そしてしばらく期待しながら待っているとピエールさんの方が『そうね…これしかないわ』と顔を上げた。おお!!と期待から思わず前のめりになる。ピエールさんはふふんっと自慢げに笑うと俺にビシッと指を向けてこう言った。 「学、あなたアルとデートなさい。」 「……へ…?」 「…え?」 「っぶえっくしょおい!!」 向こうでは再度盛大なアルのくしゃみが響き渡っていた

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