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ファン
「金8楽しみすぎる〜!!」
「ねっ!!なんかラブシーンもあるんだって!!相手の女優さん超羨ましいよ〜!!」
「………」
「……ちょっとアル…見過ぎ…」
会計を待っている間に来た女子高生たちはアルのファンらしく各々雑誌を手に取りアルの話に花を咲かせていた。
「………杉田さん、あれ、オレの話…?」
「…そうだよ、ファンの子みたいだね。ありがたいね。」
「………」
アルは自分が話題になってると知って興味津々で、全く周りを気にせずその女子高生たちをガン見していた。注意したのにやめようとしない。
「最初はATEのCMで興味もって見はじめたんだけど、はじめの頃ってなんていうかやらされてる感?みたいな?なんかただやってます感すごかったけどさ〜最近なんか頑張ってて応援したくなるんだよね。」
「あっ、わかるかも…なんかあのテレビの…Viewだっけ?あの広告とかめっちゃよくなかった??私一度離れ気味だったんだけどあれで本格的にハマっちゃったよ〜」
「あれめっちゃかっこよかった!!あれでしょ!!………」
「「「細部まで、全部見て!!」」」
きゃー!!っと女子高生たちはなおもアルの話で盛り上がっていた。
「………」
「……」
まだガン見しているアルにもう一度注意しようかと横顔を見上げたら、アルはなんだか目をキラキラさせて不思議そうな顔をしていた。アルの初めての顔に一瞬驚いたけれどでもなんだかその顔に安心した。アルが女子高生たちの方を向いたまま口を開く。
「………杉田さん…」
「なに?」
「………ドラマ……頑張りたいね……」
「………」
「………オレ頑張るね…」
「………」
そう言ったアルの横顔はキラキラしていて、それだけでも今日こうやって外に連れて来て良かったなって思った。
仕方ないなぁ…
俺はアルに注意するのは止めることにした。
まぁ、周りがざわついたら止めることにしよう…
そして、そうこうしているうちに俺の会計の順番がきた。でもアルはまだそちらを見ているので仕方ないから列から外れて待たせておくことにした。俺1人で会計を済ませてアルのところに向かう。
……あれ…?確かさっきこっちの方に来たと思ったんだけど…
でも、いると思っていた場所にアルが見当たらなくて、きょろきょろと辺りを見回す。
………なんか…嫌な予感…
「……ねぇ、ちょっと…聞きたいことあるんだけど……」
「…え?はい…?……えっ!?」
「えっ!!ねえちょっと…うそ!!」
するとさっきの女子高生がいた棚の方から聞き慣れた声と女子高生の驚きの声が聞こえてきた。
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