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避難所探し

「はぁ…もう…やっとまけた……」 「………」 本屋をあとにした俺とアルはやっとファンの人たちをまくことに成功した。 ……結構しつこかった… 「……?」 アルをひっぱりながらあっちこっちへと歩き回ったせいで俺は息が切れていたけれどアルはそんなこともなくけろっとしていた。 ……まけた…けど… あたりを見回してみるけれど全く身に覚えのない景色だった。スマホの地図アプリを起動させてみる。 普段アルの送り迎えにも使う車だから車をファンの人に見られるのは…と気を使って駐車したところとは逆側に逃げたことが痛手となった。ここは駐車場からは遠いようだ。 「……なんとかまけたけど…駐車場から結構離れちゃったね……」 「……そうなの…?」 「うん…歩いて帰ることはできそうだけど…またファンの人に鉢合わせちゃったら意味ないし…」 そう思って少しSNSで『アル』を検索してみたけれど目撃情報が多数アップされていた。中には写真付きのものまである。それにまだホットな話題のようで、数分おきに新しい情報が更新されていた。 今人通りの多いところに戻るのは得策ではなさそうだ… 「……うーんどこか静かに休憩できるところがああればいいんだけど…」 地図をスクロールして周りを調べてみる。この辺は飲食店や飲み屋さんが多いようだったけれど、それ故にまだ開いているお店は少なそうだった。 ううんと唸って歩く俺についてきながらアルはキョロキョロしている。そしてなにかを見つけると俺の服をくいっと引っ張った。 「………ねぇ、杉田さん…?」 「うん?」 「ここは?ここ『休憩』って書いてるよ。」 「え、どこ?」 地図と検索では見つけられなかったのにこんな近くにあるなんて…と思いながら顔を上げた。

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