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AVに自販機
「えぇ〜…」
「え、えぇ〜じゃない!!」
「……杉田さん顔真っ赤…」
「うるさい!!」
指摘されて余計顔が赤くなるのを感じながらソファに戻ってくる。アルはリモコンを取り上げられ不満のようでまた部屋をうろつき初めた。
……つかれた…
ソファに座ったまま天井を仰いだ。でも休まる暇は全くなかった…
「…すぎたさーん、部屋に自販機?があるよ。」
「……自販機ー?へぇ…そんなのまでついてるんだ…便利だね。」
「『料金は支払い時にフロントで精算されます。』って書いてる。どゆこと?とっていいの?」
「あー…うん、最後にまとめてお金払えばいいよってことだよ。」
「…ふーん………」
アルはそう言って自販機で何か買っていた。ピッとボタンを押す音と機械音が何度か繰り返す。
………お昼食べたのにお腹空いてるのかな…もしかしてまた甘いものばかり買ってるんじゃ…
そう思って立ち上がる。アルの足元には何やらゴロゴロと転がっていた。
……こんなたくさん買って…
「アル、ちょっと、ほどほどに……って……あ、あれ…?…何買ってるの?」
「え?なんかお菓子かなって思ったんだけど…ラブグッズって書いてる…」
「……」
「……?なにこれ?」
顔を赤くしてあっけにとられているとアルは購入した大人のオモチャのスイッチを入れて観察し始めてしまった。いかがわしい形をした棒状のものがウィンウィンといかがわしい動きをする…
アルは俺とオモチャを見比べ首を傾げ、それから首を開いた。
「………杉田さん…ここなんなの?」
「……え?」
「………そういえば杉田さん…さっきここ入る前何か言おうとしてた。」
「えっ、あっ…それは……」
まっすぐこっちを見つめてくるアルから目をそらしてしまう。どんな理由があったとしてもラブホテルにその旨を伝えずに連れ込んでしまった罪悪感が今更頭をもたげてきた。でもアルは俺のそんな様子が気に食わなかったらしい。
ウィンウィンと駆動を続けるそれを床に置くと立ち上がって俺に迫ってきた。思わず後ずさるが壁際に追いやられてしまう。
「……ねぇ、杉田さん、教えてくれるんでしょ?」
「……ぅぁ…ぁ…え、っと……」
横に逃げようとした俺を逃すまいと伸ばしたアルの長い腕で通せんぼされてしまう。
………近い……
アルは肘を曲げ俺に近づいてそう聞いてきた。
いわゆる壁ドンの状態だ…アルの顔が近くてドキッとしてしまう。
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