134 / 172

洗いっこ

「おお…お風呂でか…」 「………」 「…?杉田さん何してんの?杉田さんが一緒に入ろうって言ったんだよ?」 「……そう…だ、けど…」 杉田さんはモジモジしてなかなかお風呂場に入ってこようとしなかった。 ……へんなの…杉田さんが普通のカップルのエッチ教えてくれるって言って一緒に入ろって言ったのに… 杉田さんはしばらくドアのところでうろうろしていたけれど、大きな深呼吸をするとぎゅっと目をつぶって中に入って来てそっとドアを閉めた。 ちなみに杉田さんが中に入るまで15分かかった… 「それで?カップル、何すんの?」 「…えっ……えっと……お、俺もその…したことないから……その…ちゃんと正解?を教えられるかわかんないけど…」 「……?」 「……お互いの体洗ってあげたりとか…かな…?」 「……わかった」 杉田さんが照れ照れしながら『したことない』って言ったところがちょっと気になったけど今は黙っておいた。 杉田さんはお風呂の道具の入ったカゴをなんだかごそごそしている。持ってきたタオルで体を隠してるせいで片手しか使えないから不自由そうだ。 ……隠すのやめたらいいのにね? 「……ん、かして、洗う」 「あ…やってくれるの…?」 「うん、杉田さん前座って。」 「…わ、わかった」 杉田さんが俺の方に背を向けて座る。杉田さんの白い背中が見えた。 杉田さんは『えっちする?』って俺に聞いてきたときから今も続いてずっと真っ赤だ。首や耳まで赤い。 ………なんかちょっとかわいい… カゴの中にあった体用の石鹸を手にとって杉田さんの背中に触れると冷たかったのか杉田さんがピャッと背筋を伸ばした。ぬるっと手を動かして背中を洗おうとすると杉田さんがなんだか慌てた顔で振り返った。顔がさっきにも増して真っ赤っかだった。 「なっ…あ、ある…体…洗う、た、タオルは…?あ、あれ…?カゴになかった?」 「……?タオル?あ、これ?あるよ」 「…え?…あ、あれ?つ、使わないの?」 「え?あ…オレいっつも手で洗うから。なんかそっちのが肌に優しいんだって。椿が言ってた。はい、杉田さん前向いて。」 「えっ、あっ…あ、あの、アル…た、タオルを…使…ッア…」 「タオル?……杉田さんそんなこれ欲しいの…?はい」 「そ、そうじゃなくて…あ、ッン…」 相変わらず後ろを振り向こうとする杉田さんにタオルを渡す。杉田さんはくすぐったいのかオレの手がお腹の方や胸の体の前の方に回ると女の子みたいな声が出て面白かった。

ともだちにシェアしよう!