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普通のカップルだと思う
「…男同士だから普通のカップルじゃないって?」
「…そ、そういうわけじゃ…」
アルにそう尋ねられてうろたえた。オレ自身が銀との関係を…男同士の関係を普通じゃないと思ってるんだって突きつけられたような気がしてドキッとした。
……普通だと思ってる訳ではないのはたしかだ…だけどそれは俺の気持ちがではなくて社会から見たらだ…
とっくの昔にそう答えを出したはずだったけれどアルにそう言われるとなんだか後ろめたい気持ちになった。
でもアルは俺を責めているわけではなかった。
「……普通だよ」
「…え」
「………男同士だって、杉田さんと『銀』は普通のカップルだったと思う」
「………」
「……なんか…そんな気する…」
アルは鏡ごしに俺を見て笑ってから振り返って直接俺を見てそう言った。そしてすぐに前を向き直ると『…ん』と洗うのを催促してきた。
アルらしからぬ気を使った発言に驚いたが嬉しかった。
……なんだか優しい気持ちになれる…
そう思ってさっきまでよりも穏やかな気持ちで手を動かした。そしてやっぱりドキドキしながらいっしょに湯船に浸かり、風呂から上がってアルの髪を乾かし、アルに髪を乾かしてもらった。そうしてアルと大きなベッドの上に2人でお揃いのバスローブを着て向かい合って座った。
「………」
「……じゃ、じゃあ…しようか…」
「うん」
そう言うとアルの手が俺の腰に伸びて来てバスローブの紐をひっぱった。恋人同士のセックスを意識しているからかいつもと違う場所だからか心なしかアルの手が優しかったように思う。
「………んー…」
「………」
目の前にアルの顔があって、俺に覆いかぶさるようにしてバスローブの結び目を動いていた。
………
アルの唇に視線がいく。むっと結ばれて尖らせられているそれに視線を向けたまま口を開いた。
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