「……え…」 「だから、オレのこと、銀だと思っていいよって」 アルは再度俺を押し倒したままそう言った。驚いて見開いた目から、さっき悔しくて滲んだ涙がぽろっと溢れた。そう言われて見たからなんだろうけど、アルの白い髪が薄暗いホテルのライトに照らされて少し明るい色に見えて、なんだか銀みたいだった。 「その方が、杉田さんも普通にできるでしょ『恋人のえっち』…似てないかもしれないけどまなって呼んであげるし………よいしょ…」 「………っわ、あっ…っちょ…」 そういうとアルはオレの足の間に体を入れて自分のものを俺の後ろに当てがった。アルのそれはもう硬くなっていたけど、俺の慌てた声で動きを止めてちょっとだけ不機嫌そうな、まだなにかあるの？って顔で見てきた。 「……あ…あの…」 「……なに？」 「…その……」 アルに『銀だと思っていいよ』って言われて、なんだかいろんなものが溢れてきそうになっていた。はじめの頃、銀を毛嫌いするような様子を見せていたアルを思うと大きな進歩だ。記憶は戻ってなくてもそれ以外の部分で銀に近づいてきている部分があるのかもしれない。 だから銀が恋しくなってこんなお願いをしてしまった。自分自身なんだか人に向けて発するのは久しぶりの単語で懐かしくてまた目が潤んだ。 「……『銀』…て呼んでも、いい……？」 「………」 でもいざ出しみた声は、以前直接その呼び方を拒絶されたことがあるせいか震えて上ずっていた。なんとなく、アルがどんな顔をしているのか知るのは怖くてアルの鎖骨のあたりを見ていた。 アルは一瞬動きを止めて考えたようだが、その顔が近くにきて強制的に目を合わされた。もう唇同士が触れるまでほんの数ミリのところでアルが止まる、恥ずかしくてそっと目を伏せていた。アルの吐息が俺の唇にかかる。そしてフッとアルの唇の両端が上がった。 「……いいよ…」 「……っ…ン…」 そう言ってアルはまた俺にキスをした。