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吐露
「…ッン!!っあ…っは…ぎ、ん…銀っ…!!」
「っ…!!っふ……すぎ……まな…」
「っうぅ…んんぁ…!!」
アルは何度か間違えそうになりながらも俺のことを『まな』と呼びながら抱いてくれた。
本当のことを言えば、銀は関西弁だったし、あんまりこういうことを比べるのもどうかとは思うけれど銀の方が…その…えっちも上手だったような気がするから似ていたってわけではなかったけれど、それでも嬉しかった。
アルは銀が俺にそうしてくれたように優しく触れてくれたし、キスをしてくれたし、『まな』と呼んでくれた。銀をこの5年で一番近くに感じることができた。
でも…いや、多分だからこそ、銀を探した5年間とアルと出会ってからの数ヶ月抑えていた感情が溢れてきてしまった。
「……っう…っうっぇ…うぇっ…」
「……え…え?……ま、まな?ん?杉田さん?」
「っぐずっ…うぇぇん…」
「……泣いてるの…?」
感情が追いつくより先に涙が溢れて来て、それから感情が追いついてきて、悲しくて、声を出して泣いた。思わず腕で顔を覆ったけれどこんなに声を出して泣いてちゃ顔を隠す意味もなかった。
………銀が恋しかった…銀に会いたかったし、触れたかった。また『まな』って呼んでほしかったし、たまにならあのニヤニヤ笑いも見たかった……5年間ずっとそう思ってた…なのに…
「……っうう…なんで……なんで忘れちゃったんだよ…ばかぁ…!!」
「………」
「…っ…お、おれは忘れたことなかったのにっ…おれ、だけ5年間も…ずっと…」
「………」
「ううっ…銀のばかあ…」
ずっと記憶のないアルに言ったって仕方ないと思って黙っていた言葉だった。本当はもっと…俺のこと忘れて勝手に女の子とえっちしてんなとか、5年間俺も健斗も猛もみんな心配して探してたのにとか言いたいことはたくさんあったけど感極まってずっと一番に思ってきたことしか言葉にはならなかった。
「………」
「……っぐず…っうえ…ぎ、ん…ぎん…」
アルはずっと俺の横にいる気配があったけど何も言わずに聞いていた。
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