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嬉しいと寂しい

「おぉ…さすがに立派だね。」 「……んー…?んー…」 部屋は立派な和室だった、豪華なことに部屋に露天風呂が付いている。そしてアルは相変わらずだが部屋の端に沿うように歩き、鼻をクンクンさせていた。一通りの作業を終えると満足したのか部屋の中心付近に置かれた座布団に腰をおろした。俺もその正面に腰を下ろす。アルがいつもの様に机の上に体を投げ出した。 「…アル、疲れた?」 「ん?んー、うん」 「ははっ、そりゃそうだよね」 なんとなく思い立ってアルの頭を撫でてみるとアルは心地好さそうに目を細めた。やっぱり知らない人と長い間一緒にいるのはなかなか疲れるのかもしれない。 「……2人と会ってみてどうだった?」 「いい人だよね?2人とも。」 「そうだね。」 「…俺に会えて嬉しそうだったね……」 アルは何だか遠くを見ながらそう言った。きっと今朝駅であった時のことを思い出しているんだろう。健斗は涙目になって喜んでたし、猛も健斗ほど感情を表には出さないものの嬉しそうにしてくれた。でも… 「……でも2人とも悲しそうにもしてたね…」 アルの言う通り2人ともアルが銀とは全く違うことを知るたび悲しそうにもしていた。でもそれはアルが悪いわけじゃない。 「………それは…2人ともアルのこと大事に思ってるからだよ…」 「……………ふーん…」 そういうとアルは静かになってしまった。なんだか黙ってしまったアルが儚く見えて、その不安を紛らわす様にアルの髪に触れていた手で再度頭を撫でた。アルは顔を机に伏せてしまったので髪で顔が隠れてその表情は分からなかったが、しばらくそのままじっと撫でられていた。

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