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5年の間

「…はぁ…」 長いお説教から解放されたのはもう7時近くになってからだった、思わずため息がでる 速足で駅に向かいながら友人に『少し遅れそう』とメールを送った 「………」 ふーっと息を吐くと白い靄が広がってそれを見てるとなんだか胸のとこがきゅっとなる ……もう5年もたったんだ… 目を瞑るとまだ5年前に銀と空港で別れた時のことが容易に思い出せた 俺、杉田学は今年で24歳になる… 高校時代の恋人だった銀と遠距離恋愛になって進んだ地元の大学を1年と少し前に卒業して地元を離れて就職した。 大学入学当初希望していた海外転勤可能な会社には残念ながら就職できず、それでも銀との一緒になろうという約束を忘れることができなくて未練がましく銀の進学先だったT大学付近の勤め先を探した。 でももうその念願だった海外転勤の有無も特に必要はなくなってしまったけど… というのもその肝心の銀は5年前の8月に行方不明になっていた… ある日電話をかけてもメールを送ってもパタッと連絡がつかなくなってしまった…銀の誕生日を二人で祝うために銀が大学進学後初めて帰省する日だった… それ以来銀とは連絡が取れず、自分なりに探してみたものの身内でもなんでもない俺に分かったことは銀はT大学を辞めてしまったということだけで、銀のお兄さんの金さんにも連絡を取ってみようと思ったけど連絡はつかなかった。 当時はそれこそ何か事故にでもあったんじゃないかとか変なことに巻き込まれたんじゃないかとか毎晩心配でどうしようもなかった。 でもそのうち時間も経っても新しい銀の情報が入るわけでもなくていつの間にか俺は銀を探すことを辞めてしまっていた。 恋愛の終わりなんてこんなものなのかもしれない…ましてや銀と俺は男同士だったし銀は男女問わずモテていた… でも銀がこんな終わらせ方をするようにはどうしても思えなくて5年たった今もこうして心のどこかで銀を待っている。 「………」 ポケットから出した左手の指輪を再度眺める。 この指輪をいまだにつけているのがきっとそのいい例だ、何度も社内で噂される原因になって、何度もさっきみたいに外すかななんて考えても本当に外すことはなかった。 今はただ銀がどこでどうしているのかを知りたかった…

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