4 / 172
幼馴染とその恋人のその後
急ぎ足で約束してた店に入ってあたりを見回す
すると座敷になってる席に座ってた見知った顔の奴が顔を上げて手を振ってきた
「…あ!!学来た!!も~学遅いよ~」
「ごめんごめん、健斗久しぶりだね?」
「ほんとだよ~だって学全然帰ってこないんだもん~」
高校時代から大した変化のない幼馴染にごめんごめんと謝りながらそいつの横に座った。
今日会う約束をしていたのは幼稚園からの幼馴染の健斗とその恋人で高校の後輩の猛だった。
二人でこっちに旅行に行くから会おうって…
ぷーっと頬を膨らませるあたりも健斗は全然変わらない…
正面にはこっちも久々に会う猛が座っていた。
「学さんお久しぶりです」
「久しぶり、健斗迷惑かけてない?…ていうか迷惑かけてるでしょ?」
「かけてないよ!!ね?」
「………」
「なんで猛黙るの!!」
最近おれだって洗濯とかするのに~と健斗がごねた、健斗と猛は今同棲しているらしい。
というか猛が大学生になるときに大学が一人暮らしをしていた健斗の家の近所だと知った健斗の両親が頼んだらしかった。
家賃を健斗側が多めに払う代わりに壊滅的に家事のできない健斗に代わって家事をしてほしいとのことだった。
家があまり裕福ではない猛からしたら願ってもない申し出だったけど一度は悪いと断ったらしい、でもその後猛に気を使ったとかではなく電子レンジを爆破したり洗濯で家じゅう泡だらけにした前科のある健斗を本気で心配してのお願いだと知って引き受けたようだった。
それが健斗が大学を卒業した今も続いている。
「猛、髪黒くしてピアスとれば厳つさもおさまるかなと思ったけどあんまり変わらないね」
「看護師の人たちや患者さんにもビビられるし困ってるんですよ…」
「あんま変わんないし金髪でいいじゃんって言ってるのにぃ~」
「どこに金髪の研修医がいるっていうんですか…」
猛は高校卒業後持ち前の頭の良さを生かして医学部に特待で合格した。
今は実習と国家試験に向けての勉強を頑張っているらしくて髪を黒く染めていた。
「健斗は?幼稚園どんな感じ?」
「すっごく楽しいよ!!すっごく大変だけどみんなかわいいし、あとママさん方にモテモテだからおれ!!」
健斗は念願だった幼稚園の先生になった。
正直もうどっちが園児かわかんないけど園児からも保護者からも人気があるみたいで本人もやりがいを感じているようだった。
それに俺も健斗は幼稚園の先生ってあってると思うな…
みんな各々順調に進んでるみたいだった。
「…学は?その…銀から連絡とか…あった…?」
「……ううん…」
「そっか…ごめんね…」
「いいよそんな…」
健斗がしゅんとして猛も目を伏せた。
健斗も猛も銀を心配していた、銀が急にいなくなってしまった時も健斗は少し離れたとこに住んでたのにわざわざ連絡したその日に俺の家まで来てくれたし、猛も受験生で大変だったのに一緒に銀を探して情報を集めてくれた。
こうやってたまに三人で集まったりするたびに銀の新情報がなくてがっかりしていた。
ともだちにシェアしよう!