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探索結果
バタンと音が鳴って銀は男の人に連れられて行ってしまった。
「……え…?」
ドアの方に伸ばした手が空中で宙ぶらりんになる。
「………」
シーンと部屋が静まり返る。
周りを見回すとその部屋にはほとんど物はなかった、俺が今座ってるソファと、新品同様の大きなキッチン、ソファの前のテーブル、開けてみたらほとんど物の入ってない冷蔵庫…そして床やソファには脱ぎ捨てた洗濯物が散らかっていた。
ほかの部屋も見てみたけど大差なくてお風呂もトイレも一人暮らしにしてはきれいなのに最低限のものだけ、洗濯機は置いてあるけどあまり使ってはいなさそうな感じだった。あともう一部屋ベッドルームがあったけどベッドルームに限っては備え付けのクローゼットとベットとベッド脇に引き出しのついたテーブルがあるだけだった。
再度元の部屋に戻ってきて体にタオルケットを巻き付けたままソファに座る。
彼はソファでよく過ごすのかソファには少し使用感があった。
………
ひとしきり考えてみるけれどやっぱり昨日あの店に入った記憶以降のことは思い出せなかった。
……でも銀においしそうって言われた気がする…
うーんとうなって顔を覆った。
……待てよ…そもそもあれは銀なのか…?銀だよな…?あの店に入った後に銀に会って家に来てそのまま盛り上がってヤッちゃったってことか…?あれ…?でもあの人アルって呼ばれてた…?
「………」
結局俺一人で考えても何もわかるわけないと一旦あの銀もどきが誰なのかや、銀と関係があるのかを考えることはやめた。
待っててくださいって言われたし、きっと待ってれば帰ってくるんだろ…
「……いてて…よいしょ…」
とりあえずお風呂を借りようと立ち上がると数年ぶりに腰が痛くて本当に銀もどきとヤッてしまったんだとわかった。
………もしあの人銀じゃなかったらどうしよう…いや銀だったら銀だったでいろいろどうしよう…っていうかどうしてくれようって感じなんだけど…
お風呂から上がってからは洗濯をして過ごした、タオルケットが汚れてしまったし、ついでに散らかってた洗濯物も洗ってみた。
洗濯しながら持ってる服が着飾ったものじゃないあたりは銀なのかなぁとか思った。
洗濯物を干してまだ夕方まで時間があったので部屋をうろついていたらカギを見つけて試してみたらこの部屋のカギだった。
ちょっと悩んだけど戻って来たらいいやという結論に至って買い物に出た。腹が減っていた。
そうして戻ってきて、キッチンを借りて簡単な料理を作っていたらガチャっと音がして銀もどきと今朝の男の人が帰ってきた。
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