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帰宅

「やっぱりアルのせいですごい怒られたじゃないか…」 「……だってリンゴ渡されたから食べていいかと思った…」 「普通撮影の小道具だって気づくんだよ…それにそのことだけじゃないよ…」 玄関から話し声が聞こえてそのまま足跡が近づいてくる。 ドアノブが動いて今朝の二人が部屋に帰ってきた。 ……無言も感じ悪いし挨拶ぐらいすべきか… 「あ、あの…おかえりなさ…」 「うわぁ!!」 「…!!」 声をかけたら今朝入ってきたスーツのお兄さんに驚かれてしまった。目を丸くしてこっちを見ている。銀もどきはちらっと俺を一瞥したけどなんだか興味がなさそうな感じだった。 ……銀…じゃない…? 少しがっかりしたようなほっとしたような気持ちでいるとスーツの人が声をかけてきた。 「ま…まだいたんですか…」 「待ってろって言われたので…」 「あ、そうでしたか…」 「……」 「……」 シーンと静まり返って銀もどきがなぜか鼻をひくつかせながらうろうろする音だけが聞こえた。相手もあまり会話が得意ではないのか全く会話が続かなかった。なんとなく居づらくてその場でうつむく。 その沈黙を破ったのはキッチンをうろついてた銀もどきだった。 「…ねぇお兄さん…これ食べていい…?」 「…え?…あ…」 それは俺が自分用にと思って作ったカレーだった。鍋の蓋を開けて匂いを嗅いでいる。確かに丁度出来上がるころ合いだった。 お腹はすいてるけどなんて言うか、それ俺のだからだめだよってわけにもいかないし…まぁいいか…一食ぐらい… 「いいよ」 そういうと銀もどきはスーツの人にこれを食べると宣言し、なぜか自分のいるキッチンに呼びつけて給仕させていた。スーツの人は一度俺に「いいんですか?」と確認してから「も~」なんて言いながらも当然のように給仕している。 ……な…なんなんだ…? 不思議な関係性に余計頭が混乱する。とりあえず待ってると給仕を終えたスーツの人がすみませんと謝りながらこっちに来た。銀もどきはキッチンの方のダイニングテーブルに座って俺の作ったカレーを食べようとしていた。 「……すいません…その…待っててくださいって頼んでも実際待っててくださる方は稀でして……それであんな反応を…」 スーツの人がソファの前のテーブルをはさんだ向こう側に座った。 彼が床の上に座ったので俺も床に座りなおす。 なんとなく今朝のやり取りで分かってはいたけど銀もどきは不特定多数の人と関係を持ってるみたいだった。 「ご挨拶が遅くなって申し訳ないのですが私こういうものです…」 その人から差し出された名刺には『カメリア芸能事務所 マネジメント部門 星野和也』と書かれていた。

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