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第4話
「悪い男だ、とよく言われます」
そう言ってグラスを傾ける長い指先を、気づかれないようにちらりと盗み見る。
「お茶でも」と言いたかったのは酒が飲めないから。
けれどそれを知られるのが妙に気恥ずかしく、そうしているうちに彼の口から上品な微笑みとともに零れ落ちた。
「これから一杯いかがですか?」と。
勧めてくれたスクリュードライバーは甘かった。けれど、たぶん酔った。
「送りましょうか」という声を遮るように、結構ですと振った右手をつかまれ、
「ただし、お送りするのは僕の部屋までですよ」
boly
@boyslovinyou
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