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第5話

「急過ぎた?もう一杯飲みますか」 「…本当は飲めないんです」 消え入るような声で告げると 「酔わせるつもりじゃなかった」 とそっと手を重ねられた。 仕事で触れた時とは別物の熱が沸き起こる。 「あなたはいつも俺を見てくれ、俺もあなたを見ていました。違いますか」 再び勧められたのはクランベリーの香りのカクテル。 「さぁバージンブリーズを飲んで」 その名に過敏に反応すると 「ノンアルコールという意味ですよ」 と彼が隣で甘く笑った。 「やっぱり可愛い。連れて帰りたくなります。酒に酔えないのなら…俺で酔いませんか」 志生帆 海様 Twitter @seamoonyou

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