作者: 石月煤子

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ハロウィンオマケ②/蝶と牡丹でザ・ホーンテッド

森の中に閉ざされるようにして建つ古びた廃墟。 肝試しに出かけた若者たちの失踪事件が度重なるホーンテッドエリア。 それでも、何人の犠牲者が出ようと、好奇心には勝てずに今宵もまた生贄達が訪れる……。 「しんちゃん、腹減ったわ」 「……この緊迫した状況でよくお腹が減るね、黒埼君」 まぁまぁ親しい知り合いなどと共に廃墟にやってきたシンジと六華。 ホラー映画にありがちな展開まっしぐら、この世のものならざる不気味な影に追われてグループは散り散りとなり、どこからともなく行き交う悲鳴、極めつけは廃墟の外に出ても次の瞬間には中に逆戻りという悪夢のループ。 「しんちゃん、眠ぃわ」 呪われた廃墟に閉じ込められた二人は蜘蛛の巣でとっ散らかった浴室で休憩していた。 体の芯から冷えていくような容赦ない冷気に、シンジは、思わずぶるっと震える。 「眠っていいよ、俺が見張ってるから」 「寒くて寝れねぇわ」 普段と変わらない六華の様子にシンジは苦笑した。 「あそこに入ったらちょっと暖かいかも」 シンジが指差した先には猫脚の浴槽があった。 かつては真っ白に輝いていたのだろうが今は埃ですっかり煤けている。 六華はシンジに言われた通り、同じく煤けている浴槽の底に平然と体育座りで腰を下ろした。 「やっぱ寒ぃわ」 「……ごめん」 「しんちゃんも入れよ、そしたらマシんなる」 シンジは六華に言われた通り、彼の隣に腰を下ろした。 暖かいというより狭い。 はぐれた知り合い達がどういう状況にあるのか一向にわからない現時点において、シンジは、小さく笑った。 「俺達、死ぬのかな」 「不謹慎なこと言うなや」 「ごめん」 「腹減った」 「さっきのガムが最後で、もう、何もない」 「ちぇ」 六華はスニーカーを履いたままの両足をどかっと縁の向こうに突き出した。 汚れるのも構わずに深く浴槽壁にもたれ、ずっと噛んでいたガムをぺっと外側へ吐き捨てる。 「なぁ、しんちゃん」 「ん?」 「俺が死んだら兄貴にあいつは最期まで戦った、すげぇ奴だったって、伝えてくれ」 「……不謹慎だよ、黒埼君」 「しんちゃんは誰かになんか伝えてほしいこと、ねぇ?」 ……本当、俺にもう明日は来ないかもしれない。 「言っとけよ、なぁ」 シンジはすぐ隣に座り込む六華を見た。 六華は縦横無尽にひび割れたタイルの壁面を眺めている。 置きっぱなしにしている懐中電灯の明かりが覚束ない光の輪を描いていた。 「俺、黒埼君のこと、好きだよ」 突然の告白に六華はぐるりとシンジへ視線を移し変える。 「何でもぽんぽん言葉にして、誰にも裏表がない、ぶれない黒埼君が、好きだよ」 「……俺も」 「……え?」 「一緒にいたらわけもなく楽しくて、いつもより飯がうまく思えて、もっと色々食いたくなる、しんちゃんといたらよ」 「……漬け物みたいだね」 「漬け物と一緒いたって楽しくなんねぇぞ!」 「ごめん」 茶化してきたシンジに六華はぶすっとしたが、その肩に、頭を預けてきた。 しんなりした長めの金髪が頬をくすぐる。 「俺達、死んじまうかもしんねぇな」 「そうだね……」 世にもおどろおどろしい廃墟の片隅で。 「死」で引き裂かれるかもしれないと、別れを恐れた二人は、夢中で。 「……黒埼君」 「んぁぁ……っしんちゃ……」 最初にして最後になるかもしれない交わりを貪った。 狭苦しい乾いた浴槽の底で激しい揺れを執拗に刻む。 「は……ぁ……!」 ジーンズをずり下ろした六華は、やっとシンジのかたちを後孔奥の肉壁が覚え始め、抽挿に痛み以外のものがじわじわと湧き上がり、ぎゅっと拳を握った。 彼の背中にのしかかったシンジはジーンズの前を寛げただけの格好で、一定の速度を保って、ピストンする。 重苦しかったはずの静寂にぱんぱんと乾いた音が勢いよく鳴り響いた。 「あ……しんちゃん、すげ……っ」 「……ちょ、そんなこと言われたら……っく」 「あ…………!!!!」 欲望に従って一気に加速したかと思うと、シンジは、そのまま六華のナカに白濁を弾いた。 恐怖と緊張を伴いながらも火傷じみた絶頂感に腹の底が燃え立つ。 「うう……あ……」 達しても尚、腰を振り、熱い締めつけの中心で熱源を緩くしごかせて六華に出し切ってしまう。 普段はやんちゃなあの六華がビクビクと痙攣する様にはかなりぐっとくるものがあった。 黒埼君はいったのだろうか? 「……黒埼君」 乱れた息を耳元に注いで、シンジは、手を伸ばした。 脇腹から彼の股間へ。 すると指先にぬるりとした感触が。 「んあ」 まだ達していなかった六華はカウパーで滑る先端を撫でられた途端、全身をぶるりと過剰に波打たせた。 「……黒埼君もいって?」 「んはぁ……っあう……しんちゃん……ぁぁ……っ」 滴るくらい濡れそぼっていた六華の熱源を満遍なく掌で擦り上げる。 もう片方の手で根元下の膨らみを揉み、刺激を強める。 達したばかりのシンジのペニスが湿り渡った粘膜によりきつく抱かれた。 「あ……っも……でる、あ……っあ……!!!!」 シンジにしごかれながら六華は吐精に至った。 熱烈な愛撫を捧げていたシンジの五指が濃密な体液で白濁に染まる。 シンジは愛撫を止めなかった。 締めつけが増した体内に再び速やかに芯を取り戻し、硬いペニスで奥底を突き回し、先端をぐちゅぐちゅ擦り上げた。 「ひっ」 「は……きもちいい……黒埼君のナカ」 「ん……っ……しんちゃん、なかなか、ねちっこいのな……っ」 「だって……最後になるかも……もう、こうなったら……死ぬまで……しようよ、黒埼君……」 覚悟を決めた。 悔いを残さないため、こうなったら、とことん六華と続けようと。 「……しんちゃ、ん……」 シンジは六華にキスした。 前より行き来が楽になった後孔の最奥をフルスピードで攻め込み、同じく硬いままの六華自身を手の内側で摩擦し、スポットごとに刺激を送り込んでやりながら。 舌に舌を絡めては吐息を共有した。 「お……れ……しんちゃんので、とけそ……」 シンジのペースでひたすらことを運ばれながらも六華は笑う。 そんな笑みにシンジはさらに欲望を募らせる。 間を置かずして訪れそうな次なる極みを予感し、窒息ぎりぎりのところまでキスを繰り返し、欲張り気味に奥の奥まで打ちつけた。 ――黒埼君、こんな夜を最後に一緒に迎えることができてよかった。 ――しんちゃんがこーんなえろかったなんて、なぁ…………。 「なんかスミマセン、うちの部下、弟さんにがっついちゃって」 散り散りになっていた知り合いグループの内の一組、行動派の蜩と黒埼は浴室の扉前に立っていた。 「一緒に行動した方がいーんだけど、ここは放置しておきしょうか……あ」 またどこからともなく廃墟内で悲鳴が上がった。 「佐倉さんと凪君だ。じゃ、あっちに向かいますか」 「そうだな」 まさか近しい人物に聞かれていたとは露知らず、シンジと六華は最後(?)の夜にどっぷり溺れ行くのだった。

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