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This could be love?-8
客受けがいいからと、綾人は仕事が休みだった今日もネクタイを締めてスーツを着ていた。
黒埼はそれらを意外にも緩やかな手つきで蔑ろにしていく。
ワイシャツのボタンもゆっくりと。
ベルトを外してファスナーを下ろす。
その間、ずっと、サングラスを外した黒埼は綾人にキスしていた。
「ふ……っ……」
細かに動く舌先は歯列の裏を弄り、恐々と潜められていた綾人の舌を強請り、堂々と絡みついてきた。
飲み込めなかった唾液が零れて下顎へと滴る。
上唇を啄ばまれて、些細ながらも官能的な感触に綾人は声を洩らした。
「黒埼さん……」
ベッドへ綾人を寝かせた黒埼は上体を起こし、自身の服を脱ぎ捨てて半裸になると、緊張で強張る体に覆いかぶさった。
「何で今更緊張する。場数はこなしただろ?」
「……慣れません、そんな……あ、待って……」
着衣はほぼ黒埼に脱がされ、スラックスは足首のところで引っ掛かり、綾人は下着だけをまともに履いている状態だった。
形を確かめるように広げられた黒埼の手が股座を撫でる。
「硬いな」
布地を僅かに持ち上げる、熱もつ昂ぶりの輪郭を掌でなぞられ、綾人は反射的に腰を反らした。
「はは……エロいことするな、もうすっかり玄人じゃねぇか」
「ちが……」
違う。
本当に違う。
いつもは自分自身に対する嫌悪感に打ちひしがれて勃つことさえ難しいのに。
この人には感じてしまう。
どうしてだろう?
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