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This could be love?-10
「イイか?」
黒埼が真下からの突き上げを止めずに問いかけてくる。
「……こんなの……ン、初めてで……何も考えられない……」
狭苦しい肉の狭間を抉る度に鳴る卑猥な音色。
「私……もぉ……っ、また、イキそう……です」
熱せられた我が身に視線が刺さるだけで快楽の深みが増していく。
「ああ、何度だってイケばいい」
その声が鼓膜に届くだけで。
はしたない熱が皮膚の内で上昇する。
どうにかなってしまいそうで怖い。
「あっ、あっ、黒埼さん……っ」
快楽の中、不意に心細さに襲われて綾人は思わず呼号した。
目尻から流れた涙はかつてない欲情に誘われたものか、それとも……。
上体を起こした黒埼はその涙を舐め取った。
すでに綾人の敏感とするポイントを探り当てていた彼はそこに狙いをつけ、乱暴なくらいピストンした。
「あ、あ、あ!」
綾人は二度目の放精を迎えた。
弾かれた白濁は胸元にまで飛び散って汗ばむ肌を濡らした。
「はぁっ、あっ、はぁ」
息の荒い綾人を、下肢は繋げたまま、黒埼はシーツに横たえた。
彼が極まった際、容赦なく強まった締めつけを寸でのところでやり過ごした男は一度深呼吸し、乱れていた自分の髪をかき上げた。
「……」
呼吸が落ち着き、口元を拭った綾人は、瞬く間に赤面して黒埼から顔を背けた。
先程まで快楽に善がっていた姿からは想像できない初心な様に黒埼は失笑する。
「何だよ……処女みたいなその反応は」
顔を背けた綾人は横目で黒埼をぎこちなく見やった。
「私……その……今まで、挿入されると……違和感とか痛みで萎えてしまって……」
「……」
「ですから……こうなるのは本当、初めてで……ぁっ」
眼前に無防備に曝け出されていた綾人の首筋に黒埼は噛みついた。
急な振舞に驚く綾人を他所に頚動脈の辺りをきつく吸い上げる。
ゾクゾクとした刺激が全身を走って綾人は甘い声を上げた。
「一晩中、朝までセックスして」
あんたは自由だ、と黒埼は呟いた。
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