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This could be love?-11

目を覚ますと綾人はブランケットに包まっていた。 閉ざされたカーテンの細い隙間から差し込む日の光が随分と眩しくて。 しばしベッドの中でぼんやり夢うつつに過ごした。 ……シャワーの音が聞こえる。 ……あれ、眼鏡、どこかな。 手探りでベッドの周辺を確認し、ヘッドボードに置かれていた眼鏡を見つけた綾人は遅々たる仕草でそれをかけた。 「起きたか」 丁度、シャワーを浴び終えた黒埼が戻ってきた。 未だ裸でぼんやりしている綾人に普段と変わらない調子で声をかける。 「もう昼だぞ。よく眠ってたな」 シャツはスラックスの上に食み出たまま髪も盛大に濡れている黒埼、タオルも持たずにぶるりと頭を振った。 「無理させて悪かった」 彼が上着を羽織るのを見、やっと、ぼんやりしていた綾人の意識は覚醒した。 朝方まで続いた黒埼との行為が脳裏にはっきりと蘇る。 「黒埼さん……!」 声色と同様、焦りをその顔に露にし、綾人は黒埼を見つめた。 「……どうした」 綾人の元へ歩み寄った黒埼はベッドの端に腰掛けた。 「特別手当の申請か? いいぞ、奮発してやる」 半身だけ毛布に包まった綾人は首を左右に振る。 そして口を開いた。 「私、また、貴方とセックスがしたいです。なので、これからも会ってもらえませんか」 黒埼はまじまじと綾人を見つめた。 「理由(ワケ)を聞きたい」 「理由は、その、言いましたよね、私……初めてで、あんなの……今まで……一度だって」 「何が初めてだって?」 長い指に顎を掬われて視線が浮く。 視界に写ったのは、鋭く笑う、男の目。 「あんなに……感じて……あんなに……達したのは……」 「じゃあ、やるか。今から」 「……い、今からですか?」 「何も気にするな。俺のことだけ感じてればいい」 綾人をベッドに押し倒した黒埼は自分から誘っておいて動揺して赤面している初心で無自覚にエロい彼に言う。 「明日も明後日も来週も来月も。あんたをイかせてやるよ」 俺だって初めてなんだ。 こんなに飢えて欲しくて堪らないのは、な。

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