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This could be love?-14

黒埼の自宅は事務所から程近い雑居ビル三階の一室だった。 暖か味に欠けたアルミ扉の鍵を開け、靴を履いたまま中に上がれば、開きかけのブラインドから外明かりが差す味気ない我が家。 「お茶でも入れましょうか」 吐く息が白く色づくほどの冷気に思わず首をすぼめ、綾人は室内灯と暖房を点けようと壁に手を伸ばす。 そんな綾人を黒埼は後ろから抱き締めた。 「寒いな、佐倉さん」 そう。 綾人は仕事だけでなく住居まで黒埼に提供してもらっていたのだ。 味気ないながらも、かけがえのない、二人きりの巣。 「あんたで暖をとらせてくれ」 「……黒埼さん」 「今、あんたとしこたま愛し合いたい気分なんだ」 ぎこちない仕草で振り返った綾人は、薄暗がりの中、黒埼に自ら口づける。 「……私もです」 寒々しい真夜中に交わしたキスは熱く深く、切なくて、何よりも愛しかった……。

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