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ポチくんの憂鬱-6

ニヤニヤと笑う蜩に凪は頷けるわけもない。 ただ固まって不慣れな状況に耐えていた。 「ポチ君があんまりにもカワイイから、さ。つい悪戯したくなっちゃった」 「い……悪戯?」 「そ、悪戯」 こんな風にね。 蜩は僅かに震える凪の太腿に手を乗せた。 「カワイイ、ポチ君が、悪いんだよー?」 ハーフパンツの裾の下に指を潜らせて腿の付け根の方へたくし上げていく。 「あ、あの?」 普段、日常で他人の目にそうそう曝されることのない滑らかな太腿が外気に暴かれていき、凪は戸惑う。 そしてやっと気がついた。 自分自身がこの男からポチと呼ばれていることに。 硬直する凪の片方の太腿をムニムニと撫でながら蜩はその耳元に唇を寄せた。 「ポチ君、女の子とはもうエッチした?」 エッチは、したと言えば、した。 年上だった彼女と。 もう別れてしまったけれど。 凪がぎこちなく頷くと蜩は笑った。 自分よりかなり年上と思しき男が立てる低い笑い声を初めてこんなにも近くで耳にし、その妙な色気を伴う声音に凪は焦燥する。 正直にありのまま答えた凪にさらに蜩は質問してきた。 少年の肩に回していた手をずらし、耳朶をそっと抓って、もう片方の耳元に低い吐息を吹き込みつつ相変わらず太腿を撫で擦りながら。 「年上かぁ。じゃあリードされたカンジ?」 「……はぃ」 「ふぅん。じゃあ彼女が上に乗ってたの?」 「……そ、そ、そ……そこまでは」 「ん?」 「緊張して、た、たたなくて……途中までしか……ひゃ……っ」 耳朶の柔らかな肉片を親指と人差し指で挟み込まれて捏ね繰るように刺激された。

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