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闇金事務所の恋愛事情-2
「あ……痛かった?」
「ん、痛くねぇ、っん」
問いかけて、不安が解消されたら、またすぐに唇を塞ぐ。
アルコールの余韻で熱もつ舌同士を執拗に交わらせる。
六華の背中がタイル張りの壁にぶつかると、片足を脇腹に抱き上げて、太腿を抓るように撫でた。
片足立ちを強いられた六華はシンジの肩に抱きついてその身を支える。
自然と重なる互いの下肢が徐々に力んでいくのを痛感し合う。
「……ここでしていい?」
降り注ぐシャワーの元を離れ、壁際で唾液を連ねたまま、シンジは六華に問いかけた。
いつの間にずぶ濡れになった六華は頬を緩めて頷く。
「……後ろからしてもいい?」
「……しんちゃん、えろ」
水音に紛れる、肉が肉の奥に食い込む、音。
縋りどころのない壁に正面からもたれた六華の上擦る吐息も、排水口へ、流されていく。
六華の背中に擦り寄り、一定のリズムで前後に腰だけ揺らめかせるシンジのいつになく低い息遣いも、共に。
「ぁ……っぁ……っはぁ……は、っ」
自身の肌がけたたましく打ち鳴らされて、六華は、ぎゅっと拳を握った。
以前、一晩だけ明け渡した肉奥に久し振りの刺激を惜しみなく与えられて、その快感は前よりも勝っていて。
シンジの熱源が前よりさらに奥を抉じ開けてきているのは明らかで。
ぐりぃぃっと深奥を突かれると過敏に背筋を仰け反らせた。
「んぁ……! ぁ……っしんちゃ……」
結ばれた髪が解れ、かろうじて外気に覗くうなじを食んでいたシンジは、呼号されたことで胸の底が浅ましく疼くのを感じた。
ひくつく脇腹から、波打つ腹の下へと、利き手を滑らせていけば。
虚空に勃ち上がって湿り気を帯びた先端の感触が指先に触れる。
親指で緩く押し潰し、人差し指でカリの段差を擽ってやれば、六華はまたびくびく仰け反った。
「黒埼君……」
「っそれ……だめ、っ……むり……も、きつぃって……」
「何が駄目? きついって、これのこと……?」
股間に差し入れた手でペニスをゆっくり愛撫すると、六華は、糸が切れた人形みたいにガクリと崩れ落ちた。
シンジは繋がりが解けないよう、自分も慎重に膝を突き、はぁはぁ喘ぐ六華の背中に囁きかけた。
「ごめん。立ってるの、きつかったんだね」
「……しんちゃん、って……はぁ……っ……性格草食なのに、エロだけ、肉食じゃね……?」
「そうかもしれないね」
さらりと答えたシンジ、シャワーが設置されている壁とは反対の方へ六華をいざなった。
浴槽の縁にしがみつかせて、自分は背にシャワーを浴びながら、六華の腰の括れに両手を添える。
先ほどより少し速度を上げて六華を再び突き始める。
雫を浴びた背中の牡丹がいつにもまして艶やかに見えた。
もっと視線を落とせば、六華が、自分自身を深く浅くその身にくわえ込んでいるのがはっきり見て取れる。
静止することなく捩れる牡丹を見つめていたシンジは、おもむろに、上体を倒した。
ついさっき六華が曝した反応が忘れられず、また、彼のペニスに利き手を伸ばす。
「ひっ」
六華はついさっきよりもいい反応をしてくれた。
カリから上を掌で搾り上げるように摩擦され、涙目にまでなった彼は、自ら腰を振ってきた。
「すごい、黒埼君……」
「ばっばかが……! まっまた俺だけ先にぃ……いかせるつもりかよ、んぁっ、し、しんちゃんも一緒いけよバカタレ……!!」
六華が涙目で肩越しに睨みつけてきた。
シンジは胸の疼きがピークに達するのを感じつつ、ヤラシク殺気立つ六華に笑いかけた。
「うん、俺も。もういくよ」
笑みはすぐに溶けて消えた。
二人同時の絶頂を狙って、やや乱暴なくらい六華に何度も突き入れて、少し苦しげに眉根を寄せた。
激しい律動に合わせて六華のペニスをピストンする。
「あ、あ、あ、もぉ……っしんちゃ…………!!」
「は、黒埼君……ッ」
せめぎ合う粘膜にぐぐぐっとめり込ませた先でシンジは果てた。
体内に刻み込まれた絶頂の瞬間に、六華も苦しそうに呻吟し、シンジの手の中で放精した。
「はぁ……あ……っく……ぅ……っしんちゃんの……まじで……俺んなか、きて、る……」
六華の肩に額をくっつけ、肉食じみた獰猛ぶりを垣間見せて達したシンジは、緩々と瞼を持ち上げた。
髪を切って緩和されはしたが、シンジは、元よりちょっと目つきが鋭い。
小刻みに痙攣する六華の真上で、シンジは、そんな目つきの鋭さを密かに尖らせていた。
あーあ、スイッチ、入っちゃったな。
明日も仕事なんだけど。
一晩は要するかな、この空腹感を満たすためには。
浴槽底で長引く絶頂感にのたうつ鮮やかな背を抱きしめて花片をまるで毟るように。
凶暴な蝶は牡丹に口づけるのだった。
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